4.ソフトSM

地獄待ちの玲子

湯上りにベッドに横になり、健二は呆然と天井を見つめていた。
(もう抜かれすぎて、スッカラカンだなぁ。しかし玲子は凄い女だ)
可愛くて清楚なのに性欲モンスター。まるでAVに出てくる男にとって都合のいい女が、現実に目の前に現れて、健二はショックを受けていた。
思えば学生時代から付き合っている慶子は、顔もかわいいし、スタイルもいいし、胸も大きい。性格も悪くないし、金持ちの娘なので上品でもあった。少し嫉妬深いところもあるが、それも我慢できる範囲だった。しかし大問題なのはそのセックスだった。
もともと健二はセックスについて積極的な考えを持っており、何よりも二人でとことん楽しみたいという気持が強かった。しかし慶子はガチガチに保守的で、例えば口や舌を使って相手を刺激するオーラル・セックスについては、完全に拒否の姿勢を貫いていた。フェラチオはもちろんNGだし、逆に自分のアソコを舐めさせるのも拒否するのだ。それどころか慶子はアソコを見られることも異常にいやがって、健二に許されるのは優しく指を這わせることだけだった。何度かトライしてみたものの、健二は一度もフェラをしてもらえなかったし、クンニもさせて貰えなかった。一度、慶子の背中からお尻に舌を這わせようとしたら、逆鱗に触れて、その日は最悪な一日になった。
唯一、健二に許されるのが乳房であり、そこだけはおおらかで、例えば道の暗がりで、生で舐めさせてくれることもあった。なぜオッパイだけに寛容なのか、健二には不可解だった。ただ、慶子が自分のオッパイに非常に自信をもっており、男はオッパイが大好きだと決めつけているのは確かだった。というか男にはオッパイを与えておけば、それで満足なんだという思い込みがあるようで、それは健二には全く的外れな話だった。愛おしい女を抱きしめて、その柔らかな感触に酔いしれながらゆったりとするセックスも悪いものではないが、たまには背徳感も味わいたかった。こんなことをしてくれるんだとか、あるいは気が狂いそうなくらい恥ずかしい思いをさせてやりたい、そういう燃え上がるめちゃめちゃなセックスもしてみたかったのだ。その相手としては、慶子は論外の女だった。
しかし、今晩、偶然から始まった玲子のセックスは、とんでもない背徳感の連続だった。
「どう、もう元気になったかな?」
見ると玲子は部屋の入口に立っていた。いつの間にか玲子はクローゼットの中をかき回して、昔、健二がイベントで貰ったアメフトのTシャツを探し出してきて着ていた。
「似合うでしょ」
大きなTシャツをダボっと着ている玲子は、それだけでむんむんと色気を醸し出していた。太腿の半分くらいまであるTシャツの下は、もちろんノーパン、ノーブラだった。
まるで猫のように四つん這いになってベッドに這い上がってきた玲子は、ブカブカの襟元からTシャツの中身が丸見えだった。下に向かって綺麗な円錐形を描いている乳房が愛らしくて、健二は思わず手を伸ばし、揉みあげたくなった。
そんな雰囲気を察してか、玲子は舌なめずりをしながら健二の体の上に乗り、腹のあたりをまたいで座った。健二の腹の上に玲子の女の唇がぴったりと密着してきて、それだけで健二はムラムラと力をたぎらせるのだった。
「オマエさぁ、どうでもいいけどフェラうまいよね」
「そうでしょ。だって私、口でするの大好きだし、中で出されたものは全部飲むよ。好きな人のものは最後の一滴まで私のものだからね。誰にもあげない、全部私がもらうんだ。それに口の中で出されると、ああ、この人、私でイってるんだって思って、めちゃめちゃ愛おしくなるよ」
「そんな話初めて聞いた。今付き合っている彼女は、絶対フェラしてくれないし、クンニもさせてもらえない」
「ふーん、そういうことね。女の子にも色々あって、フェラやクンニが嫌いな子もいるよね。彼氏はかわいそうだけど」
「それだけじゃなくて、お掃除フェラまでしてくれて…感激だよ」
「そんなの当たり前じゃない。それに口でしごくとまた固くなるしね。ああ、またできるって…」
といって玲子が笑った。
「ねぇ、もっと楽しいことしようよ」
「何?」
「SMだよ」
「なんだよ。それ」
「いいから。最初は健二がMになるの」
そういうと玲子は勢いよくベッドから飛び降り、自分が背負ってきたバックパックの中に手を入れた。そしてそこから手錠を取り出したのだ。
「お前、なんでそんなもん持ってんだ?」
「健二とSMしようと思って、今日は用意してきた。言ったでしょ。今日は絶対あんたとやる気だったって」
呆れてモノが言えない健二は、あっという間に手錠をかけられてしまった。
「こんなんでSMできるのかよ」
手錠をかけられたとはいえ、手は後ろ手になっていないので、抵抗しようと思ったら簡単にできた。多少動きに制限がかかるものの、その気になれば玲子を組み敷くことさえできそうだった。
「そんな本格的なやつじゃくて、ライトなやつだよ。でもやりようによっては、上手くできるよ」
そいうと玲子は、今度は洗濯ロープを取り出してきて、健二の足首に結び付けた。そしてロープをベッドヘッドの柱に通すと、ぐいと絞った。健二の体が二つ折りになった。
「おい、おい」
健二は両足をヘッドの方向に伸ばし、股の間から顔を出すような姿勢に決められてしまった。
「お尻の穴がかわいいね」
「バカ言ってんじゃないよ」
健二は慌てて手錠の腕を股間にのばすと、お尻を手で隠した。
「隠さなくていいよ。私は健二の全部を愛したいの。すごく気持ちよくしてあげるから」
そういうと玲子は健二の手を払って、むき出しの尻にとりついた。そして舌を伸ばし、ゆっくりとアヌスを舐め始めた。唾で濡れてつるつるの舌が、健二のアヌスを這いまわった。
「やめろ、…やめてくれ」
全身を貫く異様な感覚に、健二は体を震わせた。やがてアヌスを舐めながら、玲子の手がやさしく玉袋を揉み始めた。それは絶妙のタッチで、健二はうめき声をあげた。
「ここも舐めてあげるね」
耳元でそう囁くと、玲子は玉袋に吸いついてきた。そして口の中にそれを含むと、舌であやすように転がし始めた。
(そんなバカな…。こいつ何なんだよ。もう、おかしくなりそうだ)
男のツボを知り尽くした玲子の技に、健二はぎんぎんに力を滾ららせるのだった。
「すごいよ、健二。めちゃ固くなってる。どうしよう、私もめちゃ濡れてきた。ねえ、口がいい、それともあそこに入れたい?」
玲子が究極の選択を迫ってきた。
「…口でしてくれ」
玲子は微笑むとロープをほどき、いきり立っている健二を口に含んだ。そして吸いつくようにして味わいながら、それを口でしごき続けた。健二はあっけなくイってしまった。
「ふふふ、いっぱい出たね」
玲子は口に出たものを受け止めて飲み込むと、さらに健二をしゃぶり続けた。
「きれいにお掃除してあげるからね」
そういって健二のものを唾液でテラテラに湿らすと、玲子はおもむろに健二にまたがり、自分の中につるりとおさめてしまった。
「ううう」
健二がうめいた。
(この具合の良さはなんだろう。まるで別の生き物のように中がうごめく)
それは玲子の腰使いが巧みなだけではなかった。
(挿入した先端が感じる、ざらざらとした感触はなんだろう)
そこにこすりつけられて、健二は腰が抜けるほど気持ちがいいのだった。もう抵抗できなかった。

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