週末の連休を控えたオフィス街の金曜日は華やいだ気分で溢れている。友人や恋人との待ち合わせに急ぐ人々が、楽しげに歩いている。その雑踏の中を、沙希子は魂が抜けたように歩いていた。
昨夜、帰り際に部屋の鍵を持ち去ったということは、間違いなくタモツは部屋で沙希子を待っているだろう。この週末が地獄になることは火を見るより明らかだった。
(もうだめだ。田川さんに相談しよう)
今日、会社で沙希子は何度もそう考えたが、寸前のところで思いとどまった。田川に迷惑をかけることは絶対にできなかった。かといって沙希子は他に有効な手立てを思いつくことはできなかった。ここ二日間の出来事が、あまりに過激で急性に進むので、パニックになっているのだ。それほどタモツの敷く沙希子包囲網は素早く巧みだった。
「オレはブラック・ジャーナリズムにも精通しているから、お前が妙なまねをしたら、すぐに写真を公表する。もちろんお前が死んでも、その状況は変わらない」
実際にもう死にたいとも思いつめていた沙希子の気持ちをまるで見透かすように、タモツは沙希子の心に釘を差してくるのだ。駅のプラットフォームにぼんやりと立って、沙希子はやって来る電車に向って飛び込みたい衝動にかられた。しかし行動に移す勇気はなかった。
(半年の我慢。田川さんのために我慢しよう)
沙希子は自分で自分にそう言い聞かせた。
重い足取りでマンションの前まで帰って来た沙希子は、自分の部屋の窓を見上げた。そこには部屋の明かりが灯っているのが見えた。
(やっぱり来ている)
どこかに逃げ出したい気持ちを懸命に堪えて、沙希子はエントランスをくぐった。
ドアを開けるとタモツが笑顔で、当たり前のように出て来た。
「おかえり。お疲れ様」
タモツは半袖のTシャツにトランクスといういでたちで、毛むくじゃらの手足をむき出しにしていた。
「ご飯はできてるから、先にお風呂に入ろうね」
玄関で固まっている沙希子の後ろに回ると、タモツは沙希子の背中を押して、なかへと追い込んでいった。
突きあたりの洗面所に沙希子を連れ込むと、タモツはさっさと脱ぎ始めた。
「早くしないと、またお尻を叩くぞ」
そう脅された沙希子は、タモツに背を向けて服を脱いだ。
(わずか半年、半年だけ我慢すればいい)
沙希子は心の中でそう繰り返しながら、無表情で手早く服を脱いでいった。
(半年の間、感情を殺して人形になりきることだ。身体は好きにされても、心の中へは絶対に入れない)
沙希子はタモツを無視して、心を凍らせた人形になりきることを決心した。
そんな沙希子の心の中を見透かしたかのように、タモツは沙希子がパンティを脱ぐときに、両足の中で広がったパンティの股布をいきなりのぞきこんできた。
「沙希子はお漏らしてないかな」
「やめて、見ないで」
沙希子は手早くパンティを脱ぐと、床に落ちているブラやブラウスと一緒に丸めて、あたふたと洗濯機の中にしまい込んだ。あまりの恥ずかしさにどきまぎして、沙希子は自分の顔がみるみる赤くなってくるのを感じた。心の動揺を隠し人形に戻ろうとして、沙希子は慌てて浴室のドアを開いた。浴槽にはすでにお湯が満たされていて、洗い場には黄色いエアマットが敷かれてあった。
「オレはもう済ませたから、沙希子を洗ってやるよ」
タモツは勢いよくお湯が吹き出るシャワーを手に取ると、沙希子に頭からかけまわした。沙希子は恥ずかしさに身体を縮めると、胸と股間を手で隠しながらずぶ濡れになっていった。
シャンプーを垂らして、髪の毛を泡立てる。まるで美容師のように小刻みに手を震わせながら、タモツは沙希子の髪を丁寧に洗った。目を固く閉じていても、シャンプーが染みるのが本能的に恐いのだろう。沙希子は顎をつんと突き出して上向き加減になり、大人しく髪を洗わせた。タモツはシャンプーが顔にかからないように丁寧に髪をすすぎ、柔らかい髪にリンスしてやる。シャンプーの泡が背骨を伝い、大きく張り出しているお尻の割れ目の中に流れ込んでいく。タモツはプリンとしたそのお尻の肉を今すぐ鷲掴みにして、めちゃめちゃに揉みしだいてやりたかった。そんなことを考えているとは知らずに、目をつぶって大人しくしている沙希子の姿が愛らしく、タモツの中で沙希子に対する愛おしさがどんどん膨らんでいった。
髪を洗い終わると浴室に備えてあったクレンジングオイルを沙希子の顔に丁寧に伸ばしていく。丸出しにしたおでこから瞼、すらりと通っている鼻筋ややわらかい頬、そしてルージュを引いた唇へ。タモツはその全部に噛みついてやりたいという衝動を抑えて、沙希子の顔のパーツ、パーツに指を這わせ、やさしくマッサージしていった。
(やめて、気持ちが悪い。さわらないで)
沙希子は唇を固く噛んで、顔中を這いまわるタモツの指に耐えた。化粧がオイルに溶けて広がり、その下から沙希子の素顔が浮かび上がってきた。化粧を落とされ素顔をみられる恥ずかしさに、沙希子は自分の顔が赤くなっていくのが分かった。
沙希子はナチュラルメイクが好きだったが、眉だけはしっかりとケアしていた。体毛が薄い沙希子は眉毛も薄いので、眉を強くしないとますますホワンとした幼な顔になってしまうのだ。そのことも人には知られたくない沙希子の小さな秘密だった。その秘密の領域に、タモツは遠慮なく踏み込んでくるのだった。
「化粧してない沙希子も可愛いなぁ。まるで小学生みたいだ」
確かに目を固くつむった素顔の沙希子は、穢れを知らない少女のようだった。顎を少し突き出している様が、まるで初めてのキスを待っているかのように見えた。タモツはたまらなくなって、沙希子を抱き寄せた。茹で玉子のようなおでこに、産毛のような眉毛がうっすらと美しい曲線を描いている。タモツはそのおでこにそっとキスをした。
「目を開けて、オレを見ろ」
二重瞼がパチリと開いて漆黒の瞳が現われた。沙希子はおびえきった小鹿のように大きな黒い瞳をクリクリと動かしながら、タモツの様子をうかがっている。その幼い素顔の下で、沙希子はたわわに実った乳房を手で覆って、必死に隠している。無意識に寄せ上げられた乳房が大きな谷間を作っていた。穢れを知らない少女の顔と男を誘う豊満な身体。それはタモツにとってたまらないご馳走だった。
湯船につかるとお約束の長いキスが始まった。沙希子は感情を押し殺して、人形のようにタモツのなすがままになった。タモツが許すまで、沙希子は目をつぶり無言で乳房をタモツの胸板に擦り続けるのだった。そして逆上せてぐったりとしてきた沙希子を抱え上げると、湯舟を出て空気マットの上に座り、膝の上に沙希子を後ろ向きに座らせるのだった。沙希子は固く目をつぶり、タモツの膝の上に大人しくまたがったままだった。タモツはボディ・ソープをたらすと、沙希子の身体を洗いはじめた。
脇の下から手を這わせて、乳房に泡を伸ばしていく。タモツはヌルヌルになった乳房に下から支えるように手を当てると、その重みを楽しんだ。手を軽く上下させると、乳房がタプタプと揺れる。指で探ると、早くも乳輪がぷっくりと膨らみ、乳首が固くしこっていた。
「感じやすいオッパイだな。もう乳首が固くなっている」
ゆっくりと握っていくと、柔らかい肉の感触の奥にしこしこした芯があるのが分かった。タモツが知っている安風俗の女やマキエやリカたちの乳房は、風船の中にほどよく水を入れたような感触だった。揉みこむと手の中で形を変えて柔らかく踊るのだが、その分たよりなく形が崩れていくのだった。
それに比べて沙希子の乳房はとろけるほど柔らかい肉を、芯がしっかりと支えていた。握っていく指を跳ね返してくる力が強く、しかも揉み上げている内に、パンパンに張ってくるのだった。タモツは捏ねるように手を動かして、乳房を根元から揉み上げた。手のひら一杯につかみ上げると乳房の形が歪み、つるりと手の中から逃げていった。その肉の感触が心地よくて、タモツは繰り返し乳房をつかみ続けた。
「沙希子のオッパイはぷりぷりしていて、本当に揉み心地がいいな」
そう言いながら両方の乳首をつまみあげて指先でコリコリしてやると、沙希子がたまらずくぐもった声を上げた。
存分に揉みこんだ後、タモツは乳房から柔らかいお腹に手を滑らせて、お臍を捉えた。お臍に石鹸にまみれた指を入れてクリクリと洗ってやると、沙希子がビクっと身体を震わせた。思わず出そうになる声を懸命に押し殺しているようだ。
(心を閉じてオレを無視する気だな。そっちがその気なら、たっぷり楽しませてもらうおうじゃないか)
経験豊富なあのマキエさえよがり狂わせたタモツの舌技をもってすれば、沙希子を狂わすことなど朝飯前だった。現にこの二日間で、沙希子も身を持ってそれ思い知らされているはずだ。にもかかわらず抵抗してくる沙希子がいじらしかった。タモツは余裕の笑みを浮かべると、太腿に手を滑らせていった。
太腿を泡だらけにして揉みこんでいくタモツの手が、その合わせ目に向う。肩越しからのぞくと、淡い恥毛がお湯で濡れ、股間の膨らみにぴたりと張り付いていた。そのこんもりとした膨らみにタモツは手を伸ばした。
タモツがオマンジュウと名付けた沙希子のそこはぷっくりと肉厚で、めいっぱい突きあげると、タモツの根元を柔らかく受け止める。その感触は、今までタモツが味わったことのないものだった。
(なんて具合のいい女なんだ)
実は沙希子が密かに恥ずかしいと思っている股間の膨らみは、タモツにとっては宝物だったのだ。その宝物を泡だらけの指で覆うと、タモツはゆっくりと揉みこんでいくのだった。
突然、タモツが股を開いた。大きく広がったタモツの太腿の上で、またがっている沙希子も大股開きになってしまった。女の花びらやお尻の穴が宙に浮くかたちになった。タモツはそこに手を差し入れると、丁寧に洗い上げていった。沙希子は懸命に声を殺して、そのいやらしい指先に耐えるのだった。
(お尻の穴をいたずらされる)
沙希子は内心ひやひやしていた。確かに普通ならばタモツはここでお尻の穴に指を入れるところだ。だが、タモツはわざと石鹸を塗りたくるだけにした。実は沙希子が絶対に泣きだすような、もっと恥かしいことをタモツはたくらんでいたのだった。
タモツの手が内股からふくらはぎに移動していくと、身体を強張らせていた沙希子は、緊張が解けたかのように大きく息を吐いた。
全身泡まみれになった沙希子を膝からおろすと、タモツはマットの上に横たえた。沙希子は固く目をつぶってタモツを無視し続けている。タモツが赤ん坊のおしめを替えるように、沙希子の両足を大股開きにすくい上げた。
(ここで犯される。いや、やめて)
沙希子が本能的に身を固くした瞬間、下腹に冷たい感触を感じて、沙希子は思わず目を開けてしまった。
「何をするんですか。……いやぁ」
タモツがT字型の剃刀を沙希子の下腹に当てていた。
「動くと大けがをするぞ」
沙希子は思わず身体を強張らせた。
「これから家ではオレが選んだエッチな下着をつけるんだ。その時にオマンジュウの毛がはみ出したら恥ずかしいだろう」
「いや、お願い。やめて下さい」
剃刀が恐ろしくて身体を動かすことができない沙希子は、いやいやと首を振りながら大声で許しを乞うのだった。
沙希子の願いを無視して、タモツは沙希子を剃り上げていった。体毛が薄く女の唇周辺がツルツルの沙希子を剃りあげるのは簡単だった。前から見える股間の膨らみの部分だけを始末してやればいいのだ。タモツはまたたくまに沙希子を剃りあげてしまった。沙希子の目から大粒の涙があふれ出てきた。それでも懸命に泣き声を押し殺して、沙希子は身体を震わせながら恥ずかしさに耐えていた。
「よしできた」
タモツは沙希子を無理やり立たせると、シャワーを浴びせた。泡と一緒に剃り落とされた恥毛が流れ去り、沙希子のツルツルの身体が露わになった。タモツはしゃがみ込み、沙希子の股間をじっくりと眺めた。
幅一センチ、長さ三センチほどの長方形に刈り込まれた恥毛が、股間の恥ずかしい膨らみの真ん中に張り付いている。まるでその部分を強調しているような、いやらしい眺めだった。
しかも沙希子の恥毛は薄いので、恥ずかしい女の子の割れ目が丸見えだった。普通の女の子より膨らみが大きい沙希子は、その分割れ目の切れ込み具合も深いので目立ってしまうのだ。タモツは思わず沙希子の割れ目の中に、指先をくちゅっと差し入れた。沙希子が太腿に力を入れて身体を強張らせた。見上げると、まるまるとした乳房の上で、沙希子の顔が恥ずかしさで真っ赤に染まっていた。
壁の鏡にシャワーを当てて曇りをはらすと、綺麗に剃り上がった沙希子の下腹が映し出された。
「かわいいぞ、お前も見てみろ」
そういって、タモツは沙希子の尻を一度だけ叩いた。
「あう」
沙希子はタモツに命じられた通りに、鏡の中に映ったいやらしい自分の下腹を見た。
(へんな身体にされてしまった)
堰を切ったように涙が流れだし、頬を伝っていった。
「何も泣くことはないじゃないか。ハリウッドでは、オマンジュウの毛を全部剃るのが流行っているんだぞ。沙希子のオマンジュウも丸坊主にしてやろうか?」
「いや、お願い、しないで」
口をへの字にして泣きそうになるのを我慢しながら、お願いしてくる沙希子の必死な顔が可愛かった。タモツは立ち上がると、沙希子をぎゅっと抱きしめた。子猫のような柔らかい感触を味わいながら、タモツは沙希子の背骨をなぞっていった。
「沙希子、大好きだよ」
そしてお尻の割れ目をたどると、するりとお尻の穴に人差し指を突っ込むのだった。
「だめ、そこはやめてください」
「毎日、練習するって言っただろ」
タモツは冷たく言い放つと第一関節まで指をしっかりと埋め込み、数を数えはじめた。
(やっぱりだめだ。こんなの我慢できない)
沙希子はついに声を出して泣きだした。
「いくら泣いたって、ちゃんとやれるまで終わらないよ」
タモツは差し入れた指をぐりぐり回した。その異様な感覚に負けて、沙希子はタモツが数える声に合わせてお尻の穴に力を入れ、タモツの指を喰い締めるのだった。