4.初めて咥えさせられた日

肉の記憶 麻里子二四歳

その夜、麻里子は約束通り、インナーなしで黒のミニ・ドレスを着て来た。

くびれたウエストにまん丸なお尻、そして豊かなバストラインがくっきりと浮きたち、ムチムチとした健康的な太腿は黒いストッキングに包まれていた。

その姿は予想以上にセクシーで、街ゆく男たちが振り返って見るほどだった。髪はまるで濡れているかのようにジェルで固めてあり、いつもの様におでこを見せずにさりげなく前に流してあった。その夜の麻里子は、まさにエロの女神だった。

「折角のセクシー・ドレスなのに、ストールが邪魔だね」

麻里子が上半身を隠すようにまとっているグレーのストールを咎めた。

「だってこの服、胸の谷間が丸見えだよ。ストールなしじゃ、電車乗れないよ」

「どれ、谷間見せてよ」

麻里子がずらしたストール中を覗きこむと、くれた襟ぐりから胸の盛り上がりと深い谷間がはっきりと見えた。

「はい、おしまい」

大事なものを隠すように、麻里子が両手に巻きつけたストールで胸元を再びガードした。

鉄男は麻里子をシティ・ホテルにあるイタリアン・レストランにエスコートした。フルコース料理とシャンパン、そして赤ワインでいい気分になった二人はレストランを出て、ホテルの最上階にあるラウンジに繰り出した。並んで座ったバーカウンターの向こう側、眼下に広がる夜景に、麻里子がはしゃいだ。

「凄い、こんなとこ来たことない。まるで夢の世界みたい」

奥のステージではイブニング・ドレスをまとった黒人ヴォーカリストが、ジャズのスタンダード・ナンバーを歌い出した。

「鉄ちゃんは、いつもこんなとこに来るの」

「たまにだね。お客さんと一緒の時が多いよ」

「うぁー、やっぱり大人だ」

目をまん丸く見開いて驚く麻里子が、あどけなくて、愛おしかった。

「ちょっとトイレに行ってくる」

そう言って麻里子がカウンターの止まり木から滑り降りた。

「折角だからストールは置いておけよ」

「えー、ダメだよ」

「平気だって。暗いから見えないし、そのほうがカッコいいよ」

「そうかなぁ?」

麻里子がまんざらでもない顔をして、椅子の上にストールを置いた。

「恥かしがらないで、胸を張って、膝を伸ばして歩くんだ。モデルになった気分でね。このお店の中で、麻里子が一番いい女だから、自信を持って」

「ウソばっかり」

そう言ってにっこりと笑うと、麻里子が席を離れていった。

店内を歩いて行く麻里子の後ろ姿に、鉄男は釘付けになった。麻里子が通る通路に陣取った男たちが、みんな麻里子の姿に熱い視線を注いでいる。

(みんなが羨望している女、あのプリプリの身体をこれから俺が抱く)

その思っただけで、鉄男は力が漲った。バーテンダーを呼ぶと、鉄男は階下の部屋を予約した。

トイレから戻ってきた麻里子が、鉄男が注文しておいたカクテルに口をつけた。ウォッカ・ベースのブラッディ・マリーはこの店の名物で、口当たりの良さとアルコール度の高さから、口説き落としの酒として密かに有名だった。

店内に響き渡るジャズの生演奏とヴォーカルの声が、寄り添い語り合うカップルたちの声をかき消す。声の大きさを意識しなくても、二人だけの会話が楽しめる大人のバーだった。早くも目のふちを酔いで赤くした麻里子は、もう胸の谷間を隠すことをやめて、鉄男の話に夢中になっていた。

「ねぇ、麻里子はオナニーしたことないだろ」

鉄男が突然、話題をシモネタに振った。

「ええっ?何で急にそんなこというの?」

不意をつかれた麻里子がつい真顔で受け応えた。

「この前、麻里子のあそこにキスした時わかった」

「えええっ、どういう意味?」

「あそこにあるオマメ、つまりクリが小さいから、きっと自分でも触らないんだろうなって」

麻里子が顔を赤らめた。

「いやだぁ。嘘でしょ。…そんなことあるの?」

「あるよ。年中する子は、オマメをいつも触っているから、だんだん大きくなるんだ」

「ええっ?そんなの聞いたことない。それにそのオマメって言い方がイヤらしい」

「でも当ってるだろ。正直に答えろよ」

麻里子が足を組み替えてモジモジした。

「いいじゃないか。誰も聞いてないよ」

酔いも手伝ってか、麻里子がついに白状した。

「そういうの苦手だったから…したことない。でも、鉄ちゃんだけだよ、こんなこと話すの。絶対秘密だからね」

「分かった誰にもいわないよ」

「全く変なこと言い出すんだから、鉄ちゃんはホントにエッチだね」

足を組み替えて、妙にモジモジしだした麻里子を、鉄男は愛おしく思った。

「もっとエッチになってやる」

鉄男はそう囁くと自分の二の腕を麻里子の二の腕にくっつけた。そして反対側の腕を下から伸ばし、カウンターに肘をついて前かがみなっている麻里子の腕の下にくぐらせた。そしてドレスの上から乳房の頂を摘み上げ、ぎゅっとひねった。

「あん」

麻里子が小さく声を上げたが、鉄男はかまわずひねり続けた。薄暗闇の中で、麻里子は両肘をカウンターについて前かがみになっているので、バーテンダーが二人の動きに気がつく心配はなかった。それをいいことに、鉄男はドレスの上から乳首をひねり続けた。ドレスの中で乳首がどんどん硬くなっていくのが分かった。

「白状しろよ。こうされるのが好きだろ」

鉄男は乳首をひねりながら、耳元で囁いた。

「…もう恥ずかしくて、変になりそう」

押し寄せてくる酔いと興奮に、麻里子が視線を泳がせながらそう応えた。

高層階の部屋は見晴らしがよく、窓の外には美しい夜景が広がっていた。

部屋の明かりをつける暇もなく、麻里子は子供のように窓に駆け寄ると、うっとりと景色に見とれた。後ろから忍び寄った鉄男が肩に手を置いた瞬間、麻里子が振り向きいたずらっぽく笑った。

「ねぇ、今日の私は大人味なんだ。その意味分かる?」

「セクシーなドレスを着ているって意味?」

「違うよ。このドレスを買ってくれた時のことを思い出してよ。鉄ちゃんは、あの日の下着の色に合わせて赤いドレスを選んでくれたでしょ。そして同じデザインで黒も買ってくれた。しかも、今度会うときは黒を着てこいということは?」

「分かった。下着が黒だ」

「当たり」

麻里子はおどけた仕草でスカートの裾を掴むと、徐々に引き上げていった。

薄暗い部屋の中で、スカートの下から黒いストッキングに包まれた、はちきれそうな太腿の合わせ目があらわになった。そこには黒いパンティがかっちりと食い込んでいた。光沢のある布地でできたパンティは股上の浅い超ビキニで、麻里子のそこにぴたりと張り付き、こんもりとした女の子の膨らみをあらわにしていた。鉄男はゴクリとつばを飲んだ。

「これ、後ろはもっと凄い」

恥ずかしさをごまかすように、麻里子がおどけた。

「じゃーん」

くるりと振り振り返ると、丸々とした白いお尻が丸見えになった。パンティはTバックで、豊かなお尻の谷間にきっちりと食い込んでいた。

鉄男は両手でお尻の柔肉を掴みあげた。

「窓に手をついてごらん」

そう耳元で囁くと、麻里子は大人しく前にかがみ、両手を窓についた。

「もっと背中を反らせて、足を開いてお尻をつきだすんだ」

鉄男はスカートから剥き出しにしたお尻の柔肉をこねながら、命令した。

「恥かしい…」

そう呟きながら、麻里子は大きく足を開くと、背中を弓なりに逸らした。お尻が盛り上がるように上を向き、普段は太腿の間に隠されている肉の口唇の形があらわになった。それはアナルから前に向かって、パンティの中で一筋の畝のように盛り上がっているのだった。

「もう我慢出来ないよ」

鉄男はストッキングをつまみ上げると力任せに切り裂いた。そしてTバックの布をずらし、麻里子の秘裂をむき出しにした。そこはすでにしとどに潤んでいた。鉄男は痛いくらいにいきり立ったものを取り出すと、麻里子の中に一気にねじ込んだ。

「あああん」

麻里子が獣のように呻き声を上げた。

「麻里子、凄く濡れてるじゃないか。一体いつから濡れてたんだ?」

鉄男は麻里子のお尻をガンガン突き上げながら問いただした。

下腹が麻里子のお尻に当たり、リズミックな音を上げる。麻里子は質問に応える代わりに、鉄男のストロークに合わせて喘ぎ声を上げた。

「はあああん、はあああん…」

「正直にいわないと、抜いちゃうぞ」

鉄男はわざとストロークをスローペースに落とすと、外れそうになる手前まで引き抜いて、先っぽだけを出し入れした。

「ああん、いやん。鉄ちゃん、やめたらだめ」

「じゃあ、正直に言え。いつから濡れてたんだ」

「…カウンターで、…飲んでた時から。だって鉄ちゃんがオッパイ触るんだもん」

そういえばラウンジのカウンターで飲んでいる最中、麻里子はしきりに足を組み替えていた。

「だから、足を組み替えてモジモジしてたのか」

「そう。早くしたくて、腿できゅっとしてた」

「どうりで凄く濡れてるよ。ヌルヌルになって、オレのをしっかりと咥えてる」

「いや、見ないで」

「丸見えだよ。お尻の穴もヒクヒクしてるぞ」

「だめ、見たらダメだってば」

口ではそういうものの、麻里子には鉄男の視線をそらす手立てがなかった。

「凄くエッチだよ。もう太腿の方までビショビショに濡れてきた」

鉄男は麻里子の状況をわざと言葉にして、いじめていった。

「あああん、おかしくなっちゃう。壊れてる…なんか漏れちゃいそう」

「よし、もっと濡らしてやる」

鉄男は麻里子の股間に前から手を回すと、パンストを破ってパンティの中に強引に手を入れた。指先で草むらをかき分けると、クリを探り当て、指でそれをしごきながら腰を打ちつけ続けた。

「ほら、オマメもこんなに膨らんでる」

「あああん、だめ。凄い、凄い、うううん…漏れちゃう」

麻里子が絶叫し、あっと間に上り詰めていった。

ベッドの上で、鉄男はドレスの背中のファスナーを下ろしてやった。麻里子が白い体をくねらせてドレスを脱ぐと、脇の下がらウエストまでが黒いレースの下着で覆われていた。

「これビスチェっていうんだよ」

ドレスを脱ぎ終わった麻里子は、少し誇らしげに言った。それはウエストのあたりからコルセットのように胴体を締め付けていて、かろうじて乳首は隠しているものの、乳房全体を持ち上げるようなハーフカップのブラになって終わっていた。

「コルセットみたいだね」

「それよりソフトなの。材質も柔らかいし、締め付けもそれほどきつくない」

「ふーん、なかなかセクシーだね」

そう褒めると麻里子がニンマリと微笑んだ。

確かにこういう下着は胸とお尻にボリュームがあって、しかもウエストがくびれていないとダメだろう。そうでなければずり下がってしまいそうだった。それを着こなせる、麻里子のスタイルの良さが一段と際立つ下着なのだ。

「立ち上がって見せてくれよ」

「えー、恥ずかしいよ。だって下に何にも履いてないんだもん」

さっきの激しいプレイで、Tバックのパンティは、床にほつれて脱ぎ捨てられていた。

「いいじゃないか。麻里子のスタイルのいいとこ見せてよ」

鉄男がおだてた。

「じゃあ、ちょっとだけ特別ですよ」

麻里子はベッドから降りると、カーペットの上でつま先だって見せた。

「くるりと回ってよ」

バレリーナのようにくるりと一周すると、真っ白いお尻の豊かな丸みが丸見えになった。

「手を上げてバンザイしてごらん」

麻里子は立ち上がってから太腿の合わせ目の前に素早く両手を組み、さりげなくそこを隠し続けているのだ。

「バンザーイ」

おどけたふりをして、麻里子が一瞬手を上げた。いつもは逆三角形にみっちりと生え揃っていた草むらが、幅四センチほどの四角い形に刈り込まれているのを、鉄男は見逃さなかった。

「はい、おしまい」

そう言うと、麻里子は慌ててベッドにかけあがり、股間の上に枕を抱え込むと大切な部分を隠した。

「今日は剃ってきたんだ」

鉄男がズケズケと言った。

「やっぱり見たね。鉄ちゃんはホントにエッチだな」

「麻里子は、いつもは剃るんだ」

「そんなこと決めてないけど、今日は小さな下着だったから。そうしないとはみ出しちゃうじゃない」

「はみ出してるの、いいじゃない」

「やだよ。鉄ちゃんの変態」

「そうだよ。だから麻里子にも変態になって欲しいんだ。いっそのこと全部剃っちゃったら?」

「いやだ、そんなこと出来ないよ」

「いま、欧米の女の子は、みんな剃ってるらしいよ。その方が清潔なんだって」

「知ってる。ブラジリアン・ワックスでしょ。でも私はダメだ。そんなの恥ずかしすぎるよ。しかも人にやってもらうなんて、絶対ムリ」

「なーんだ。やるならお金出すのになぁ」

「いやです」

「じゃあ、オレが剃ってやろうか」

「バカ」

麻里子が股間を隠していた枕を投げつけてきた。それをよけた鉄男は麻里子のウエストにタックルし、二人はベッド中に倒れこんだ。

鉄男は麻里子の口唇を奪うと、舌を差し入れ、その甘い唾液を、音をたてて吸い上げた。

「四角いとこ、舐めさせろよ」

「…バカ」

鉄男は麻里子の両足をすくい上げ、いつものように口唇をあてがった。麻里子は全く抵抗をみせず、むしろ進んで体を開き、鉄男に身を任せた。

そして舌先がクリを探り当てると、鉄男の顔を太腿で締めながら、くぐもった喜びの声を上げた。

「もっとオマメを舐めてって言えよ。言わないとやめちゃうぞ」

「やだ、もう。…お願い…オマメいっぱい舐めて」

麻里子が消え入りそうな声で甘えた。

ダブルの部屋だけあって、ホテルの浴室は広くて豪華だった。洗面台の鏡の前にはブランド物のアメニティ・グッズが並び、浴室には二人が一緒に入るのに十分な広さのバスタブがある。さらに透明なアクリルのドアの向こう側はシャワー・ルームになっていた。

「なるほど、お湯につかりながらシャワーを浴びる彼女の裸が眺められるんだ」

湯船で向かい合っている麻里子が、呆れ顔になった。

「どーしてすぐに、そういうことばっかり思いつくかなぁ」

「だってそうじゃないか。ここに泊まった男どもは、みんなここから自分の彼女の裸を眺めてるんだよ。だから麻里子もシャワー浴びてこいよ」

「今度ね」

麻里子が裸を隠すように湯の中に体を沈めた。

「けちだなぁ」

「だって、小出しにしとかないと、鉄ちゃんがすぐ飽きちゃうでしょ。男はみんな飽きっぽいからね」

「彼氏もそうなの?」

「えっ」

意外なつっこみに、麻里子がたじろいだ。

「彼氏は麻里子に飽きてるの?」

「…きっと、そうなんじゃないかな」

「もしかして、麻里子たちはセックス・レス?」

「う、うん。もう一年以上してない…」

「麻里子は彼としたくないの?」

「うーん、微妙かな。私もともとエッチが得意じゃないし…」

「誘ってみたりしないの?」

「たまにお風呂上りとかバスタオルを巻いただけで部屋の中を歩くけど、もう私の裸には興味ないみたい。殆ど無視で、テレビの方ばっかり見てる。きっと私とはやりたくないんだよ。もともと二人とも、そんなにやるほうじゃなかったからね」

「ホントかよ?彼は知らないけど、麻里子はそうじゃないだろ?」

「あのね、私にとって鉄ちゃんが特別なんだよ。はっきりいうと、私はそんなにエッチが好きじゃなかった。エッチなしでも生きていけると思っていたから。これはホントだよ。でもなんか相手が鉄ちゃんだと安心して、何でもできちゃう気がしてきた。私をどんどん追い詰めて開放していくっていうか、鉄ちゃんが私を変なふうに変えようとしてるんだよ」

「じゃあ、エッチが好きになってきたんだ」

「…そうかもね」

「いろいろやるのって気持ちいいだろ?」

「…うん」

「じゃあ、麻里子もフェラしてくれよ」

「ええっ!」

鉄男のいきなりの申し出に心底驚いた麻里子は、一瞬で顔を赤らめた。

「いやかい?オレはどうしても麻里子にフェラして欲しいんだ」

「ねぇ、そこまでズケズケ言うかな。鉄ちゃんはホント正直すぎる。…困るよ」

「いやなの?」

「いやじゃないけど、あんまりしたことないし。きっと、上手くないし…ってゆうか恥かしいよ」

鉄男は人差し指を突き出すと、ゆっくりと麻里子の口に近づけていった。

「ちょっとこれをしゃぶってごらん」

そう言って、鉄男は麻里子の口唇に指を差し入れた。麻里子が恥ずかしそうに口を開いて、指を受け入れた。

「ほうら、こんな感じだよ。もっと口をすぼめて、口唇でしごくようにしてごらん。…舌をからめて。抜くときに軽く吸い込んで…そうだよ、そう、旨いじゃない」

生暖かい口の中で舌を弄ぶように、鉄男は指を動かした。生温かくてヌルヌルしている麻里子の口の中を、指で探る感触が気持ちよかった。

ようやく指を抜くと、麻里子が大きく息をはいた。

「はい、じゃあ本番ね」

鉄男は明るくそう言うと立ち上がって、湯船のヘリにこしかけた。

「ちょっと、鉄ちゃん。恥ずかしいってば」

「大丈夫、指だと思えばなんでもないよ」

「指はこんなに大きくないよ」

「ははは。大きくしたのは麻里子のせいじゃないか。責任とってくれよ」

鉄男は明るく笑いながら、まくしたてた。

「はやく手に持って…」

「もう、やだ。…じゃあ、するけど、恥ずかしいから絶対こっちを見ないでよ」

真っ赤になって睨み上げてくる麻里子が愛らしかった。

「分かったよ。絶対に見ない」

鉄男は顔を上げると、正面を見据えた。鉄男の視線がそれたのを確かめてから、麻里子は柔らかい掌で鉄男の根本をそっと握ってきた。

「最初はアイスクリームみたいに舐めてみて。そうだよ、男はそこの裏側の筋が気持ちいいんだよ」

命じられるままに、麻里子が裏筋に舌を滑らせていく。丁寧に這いまわる舌のヌラヌラした感触と時折かかる麻里子の鼻息で、鉄男は腰が痺れるほどの快感を覚えていた。

「うっ」

先端の敏感な部分が温かくヌルヌルな口唇の間に滑り込む感触に、鉄男は思わず声を上げそうになった。そこから麻里子は口一杯に頬張り、その中で舌を絡めてきた。口の中で人肌の温かさにくるまれる感触が心地いい。さらにその中で巻きつくように這いまわる舌の感触が、痺れるほどの快感を呼び起こした。

(麻里子だ。あの小暮麻里子にしゃぶらせている)

鉄男は爆発しそうになる気持ちを抑えて、冷静になろうと、わざと冷めた声でしゃべった。

「なんだ麻里子、うまいじゃないか。凄く気持ちいいよ」

それに応えず、麻里子は舌を絡めながら深いストロークでしゃぶり続けた。溢れ出る唾をすするいやらしい音が浴室にこだました。鉄男は空いている両手で麻里子の乳房をさぐると、思い切り揉みあげた。

「うううん」

乳房を揉み込まれた麻里子が、咥えながらくぐもった声を漏らした。

たまらなくなった鉄男は、ついに麻里子の姿を盗み見た。

本当に恥ずかしいのだろう。麻里子はしっかりと目を閉じて、口をすぼめてしごくようにストロークしている。長い睫毛がカールしているその下で、すぼめた口がしっかりと鉄男を咥え込んでいた。両手でこわごわと根本をもち、麻里子は懸命に口唇でしごきながら、舌をからめているのだった。

鉄男はもう限界だった。

「麻里子。続きはベッドでやろう」

そう言って、鉄男は麻里子を湯船から抱き上げた。

裸の麻里子をベッドの上に横たえると、鉄男は麻里子の太腿をぎゅっと抱きしめた。胸の前に二本の太腿をまとめて抱きかかえてみると、若い娘らしいムチムチした充実感が鉄男の胸板を弾き返してきた。鉄男は上下の体勢を入れ替えると麻里子の太腿を再び抱いて、麻里子の上にかぶさった。そしてくるりと体を反転させて、麻里子を自分の体の上に載せ上げた。

「えええ、なに?」

麻里子が驚きの声を上げた。それに構わず眼の前にある膝を割り開くと、自然と麻里子が顔をまたぐ姿勢になった。甘い香りとともに麻里子の肉襞が丸見えになった。鉄男は下から麻里子のウエストをガッチリと掴むと、肉襞に口付けした。

「鉄ちゃん、だめだよ。ちょっとこの恰好、凄すぎるよ」

麻里子の抗いを一切無視して、鉄男は肉襞を舐め始めた。あっという間にそこが割れ、透明な液体をたたえたピンク色の肉肌が現れた。

「ああん、もう」

諦めた麻里子がおずおずと鉄男をしゃぶりだした。麻里子にしゃぶられ痺れるような快感の中で、鉄男も一心不乱になって麻里子を舐め続けた。縦横無尽に舌をそよがせたり、肉襞を甘咬みしたり、そして徐々に膨らんでくるクリに吸い付いたりしながら、鉄男は麻里子を追い詰めていった。

「もう、だめ。…許して」

とうとう麻里子が音を上げた。しかし鉄男は手を緩めなかった。秘裂を舐め上げながらその先へと進み、とうとう舌で会陰をとらえた。そして、さらに舌先でアナルをとらえた。

「ひぃー、そこはだめだってば。お尻はイヤだぁ」

麻里子が甲高い声を上げて、体を逃がそうともがいた。しかし鉄男はがっちりと抱きつき、口唇でアナルをとらえ直すと、有無を言わせず舌でなぶった。紫がかったピンク色の膨らみに刻まれたシワの一本、一本まで、鉄男はほぐすように舐め続けた。

今までされたことがないアナル舐めに、麻里子は狂ったように声を上げ続けた。

そしてついに泣きだした。泣きながら、まるでお漏らしをするように、麻里子は秘裂からピュッ、ピュッと断続的に涎を出し続けた。とめどなく溢れる涎と共に、麻里子の意識が遠のくまで、鉄男は丹念にアナルを舐め続けた。

腕枕の中で、麻里子がまるでおとぎ話のお姫様のようにパッチリと目を開いた。

「ああ、もう訳がわかんなくなっちゃった」

傍らの鉄男の顔を恥かしそうに見ると、隠れるように胸に顔を埋めてきた。鉄男はあやすように、やさしく髪の毛を撫でてやった。

「ねぇ、鉄ちゃんはいつもあんなとこ舐めるの?」

「あんなとこって?」

鉄男はわざととぼけた。

「お尻だよ。さっき私のお尻舐めたじゃない」

「うん、オレも舐めたのは初めてかな」

鉄男はウソをついた。

「どうして舐めたの?」

「なんか興奮してきて、麻里子をもっと可愛がってやりたくなったんだ」

「それって変でしょ。可愛がるんじゃなくて、わざと恥かしがることをして、私を苛めめてるじゃない」

「そうじゃないよ。誰もしてないことを、オレが一番でやりたいわけ。麻里子の初めてを独り占めしたいんだ」

「もう一杯してる。初めてのことを一杯されすぎて、私はパニックだよ」

「ははは」

鉄男は麻里子のものいいが可愛くて、思わず笑った。

「笑い事じゃないよ。お尻の穴を見られたことだけでもショックなのに、舐められたんだよ。…もう信じられない」

「でも、気持ちよかっただろ」

「分かんないよ。…そんなの言いたくないよ」

そう言って麻里子がふくれた顔をした。

「ええっ、いやだ。びしょびしょじゃない」

急に麻里子が布団の中の足をもぞもぞさせながら言った。

「恥ずかしいよ。私、お漏らししたみたいだ」

「お漏らしはしてないよ」

「ウソ。そうじゃなきゃ布団がこんなにならないでしょ」

「潮を吹いたんだよ」

「なにそれ?…オシッコじゃないの?」

麻里子が不思議そうに顔を向けてきた。

「女の子が感じすぎると、人によって潮を吹くことがあるんだ。オシッコと違って、透明で匂いもしないよ」

「ほんとかなぁ。そんなことあるの?」

「本当だよ。いま、そうだったもん」

「私は漏らしちゃったような気がしたけど…。もう、どっちでもいいけど、ここには二度と来れないね」

「どうして?」

「だって恥ずかしいじゃない。…おねしょしたみたいで」

「そんなの気にしなくて大丈夫だよ」

「いやだ、気にする。鉄ちゃんが変なとこ舐めるからだ。私は潮なんか吹きたくないんだよ。もう絶対にお尻は禁止だからね」

口を尖らせて拗ねる麻里子が可愛かった。

「いっぱい感じてくれて、オレは凄く嬉しいけどな?」

「漏らしちゃっても?」

「うん」

「変なの。なんか私ばっかり恥ずかしいことされて、ズルい」

そういうと麻里子が布団の中に潜り込んでいった。そのまま無言で鉄男を咥えると、麻里子が音をたててしゃぶりだした。

「おい、麻里子。そんなにしたら、口の中で出ちゃうぞ」

「いいよ。口の中に出してよ。鉄ちゃんも恥ずかしい思いをしてよ」

「じゃあ、麻里子のオッパイに挟んでしごいてくれよ」

布団の中で麻里子がおずおずと乳房の間に鉄男を挟んだ。そしてゆっくりと前後に動き出した。固く凝った両方の乳首が、下腹の上を滑る感触が心地よかった。

やわらかいものに挟まれて、天にも登る幸せな気分になった鉄男は、自分のものを挟んでいる麻里子の姿を見たくなって、布団を剥いだ。前後に動きながら麻里子がこっちを向いた。鉄男に見られた恥ずかしさにはにかみながら、麻里子が言った。

「気持ちいい?」

「すごくいいよ」

「こんなことするのも初めてだよ」

「嬉しいよ」

「私の恥ずかしい恰好を見たかったんでしょ?」

「そうだよ」

「鉄ちゃんは、そういうので興奮するんでしょ?」

「そう、変態だからね。麻里子が死ぬほど恥ずかしがるのを見て、もう、死ぬほど興奮する」

麻里子がくすりと笑った。

「じゃあ、もっと恥ずかしいのを見せてあげる」

そういうと麻里子は鉄男のものを乳房から開放し、つるりと口にくわえ込んだ。

口唇を尖らせて扱き上げ、その中で舌を使う。恥ずかしさに真っ赤なって、麻里子は上目づかいに鉄男の顔を見ながら、しゃぶり続けた。そしてまるで鉄男に挑むように、むきになってストロークを早め、口唇で激しくしごいてきた。

「麻里子、もうだめだ。出すよ」

勝ち誇ったように麻里子が動きを早めてきた。体を貫く強烈な快感を我慢できなくなり、鉄男がついに麻里子の口の中に精汁を発した。麻里子はどくどくと溢れ出るものを、音を立てて飲み下した。そして最後の一滴を搾り取るように口唇で何度もしごきあげると、ようやく口を離した。

「気持よかった?」

羞恥と興奮で上気した麻里子は、顔が真っ赤だった。

「凄く良かったよ。飲んじゃって平気?」

「平気だよ。ちょっとだけまずかったけどね」

そう言ってちらっと顔をしかめたあと、麻里子はにこりと笑った。

「鉄ちゃんがちゃんとお願いするなら、いつでも飲んであげるよ」

翌朝、破れたストッキングを前にして、麻里子は途方に暮れていた。この日のために折角新調したTバックも、激しく愛しあっているうちによれて破れてしまい、身に付けることができなくなっていた。お化粧を終え、服をきたものの、麻里子はミニ・ワンピの下は生足でノーパンだった。

「ああ、どうしよう」

「買ってやるよ」

「だって、まだお店やってないよ」

時計を見ると8時半だった。

「とりあえずだから、コンビニでいいじゃない。破いた分のお金はちゃんと払うけど」

そう言って鉄男は麻里子に一万円札を渡した。

「ありがとう。でもコンビニまでどうしよう?ねぇ、鉄ちゃん。買ってきてよ。お願い」

「サイズとか、わからない」

「エムで大丈夫だから。エムの黒いストッキングと、エムの下着」

「それよりノーパンで買いに行った方が楽しいよ」

「そんなことできるわけないじゃん。絶対に無理」

「あのね。外を歩いている若い女の子のうちね、そうだな、二、三パーセント、つまり百人に二、三人はノーパンだよ。ノーパンでストッキングだけの娘を入れてもいいなら、その数は七、八人に増える」

「ウソだぁ」

「本当だよ。賭けてもいいね」

「どうしてそんなこと分かるの?まさか鉄ちゃん、彼女にやらせたことあるの?」

「あるよ、何回も。みんな最初はいやがるけど、結構、やみつきなる。すごいスリルだからね。麻里子もやってみようよ。オレがついているから大丈夫。絶対にばれないから大丈夫だって」

「ええ、そんなぁ…」

結局、説得された麻里子は、渋々ノーパンでチェックアウトした。ホテルを出ると、付近の地理に熟知している鉄男は、コンビニのない方向にわざと麻里子を連れて行った。そして嫌がる麻里子をなだめて道端のベンチに座らせた。

「休日の朝は気持ちがいいね」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ」

「ドキドキする?」

顔を覗きこむと、麻里子は泣きそうな顔になって頷いた。

「もう心臓が口から飛び出そうだ。私、いま転んだら気が狂うかも」

「でもね、そうやって意識していると、立ち振舞が凄く綺麗でセクシーになるんだ。モデルなんかも、ショーとかでみんなに見られる場数を踏めば踏むほど、どんどん綺麗になるんだよ」

「へー」

麻里子の顔がまんざらでもない表情に変わった。

「ファッション・ショーなんて舞台裏は戦場だから、彼女たちは全裸でバンバン歩いているよ」

「ウソ。鉄ちゃん見たことあるの」

「アパレル業界を担当した時はよく行った。こっちも仕事だから、エロいとか考えている暇もない。慌てて、舞台にノーパンで出ちゃうのもざらで、本人が気づいたときはもう遅い。でもそういう時の歩き方が実にセクシーなんだ」

「なんか信じてきちゃったな。鉄ちゃん、ウソつくのうまいね」

「ウソじゃないよ。だって、麻里子、いま濡れてるだろ?」

「いやだ。変なこと言わないでよ」

「正直に言わないと、触って確かめるぞ」

「だ、だめよ」

麻里子が慌ててスカートの裾を抑えた。

「白状しろよ。濡れてるだろ」

「…ちょっとね」

「ほら、体は正直だ。セックスはスリルがあったほうが燃えるんだよ」

「もう、鉄ちゃんとつきあってると、変態にされちゃうよ」

「いいね。麻里子はもっと淫乱で変態になったほうがいいよ。いい女はみんな、淫乱で変態なんだから」

もうこれ以上いたら何をされるかわからないというふうに、麻里子が勢い良く立ち上がった。

「もう分かったから、早くコンビニに連れてって」

結局、その後コンビニにはよらず、鉄男はタクシーで麻里子を送っていった。

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