10. カップレス・ブラ

隷属の沙希子

沙希子の部屋に押し入ってから二カ月がたった。その間にタモツは大きな決断をした。愛人契約の半年間を、全て沙希子に捧げることに決めたのだ。
勤めていた探偵事務所には、親のあとを継いで漁師になると嘘をついて辞表を提出した。社長の加藤は不思議そうな顔をして、戻って来るならいつでも連絡をくれと言って、辞表をうけとった。部屋も処分した。あらかたの荷物は業者に頼んで棄ててしまい、タモツはとりあえずの衣服とパソコンだけを沙希子の部屋に運び込んだ。沙希子との真剣勝負に、タモツも退路を断ったのだった。タモツは持っているお金と時間の全てを沙希子につぎ込む覚悟だった。
昼間、沙希子が会社で働く一方、タモツの仕事は炊事、洗濯、掃除だけだった。毎日部屋を雑巾がけし、沙希子の洋服や下着を丁寧に洗ってやるのだ。
タモツは下着よりも沙希子の身体そのものに興味があるので、下着を洗うことで興奮することはなかった。綺麗に洗ってやった下着を沙希子につけさせてやりたいという、純粋な親切心だけだった。ただ、そうすることで恥ずかしがる沙希子の様子が、タモツを喜ばせたのだ。
(羞恥心というのは女の宝物だ。それが心底備わっている女ほど、落とした時の揺り返しも大きいものさ)
マキエの言葉によれば、沙希子は大きな宝物だった。タモツの仕掛ける罠にはめられるたびに、沙希子は大泣きして恥ずかしがるのだった。そこがタモツにとって最大の楽しみになっていた。
沙希子を恥ずかしがらせ、泣かせるために、タモツはインターネットを駆使した。まずは沙希子が泣きわめくような恥ずかしい下着をネットで買い漁った。
ローライズやマイクロ・ビキニ、Tバックなどのきわどいパンティを買い漁っては、タモツは毎日沙希子に着せかえた。真っ赤になって恥ずかしがる沙希子に、いやらしいパンティを履かせる瞬間、その姿を鏡にうつして沙希子を泣かせる瞬間、それはタモツにとって沙希子の身体をいじりまわすのと同じくらいの喜びを与えてくれた。
一番のヒットはカップレスのブラだった。カップの部分がまるまるないブラジャーは、乳房の下側だけを支える仕組みになっており、乳房を抉りだすように強調するための下着だった。それは沙希子の大きい乳房をより一層目立たせるのだ。
まず沙希子を四つん這いにさせて乳房の肉を集める。軽く手をあてがって上下に揺すると、円錐形に突き出た沙希子の大きい乳房がたぷたぷと揺れる。その重みと感触を充分楽しんでから、タモツはカップレス・ブラをあてがい、ホックを留めてきっちりと食い込ませていく。収まりを整えて沙希子を立たせると、タモツは無理やり鏡の前に連れて行った。まるで体中の肉を寄せ上げたようにオッパイを飛び出させた沙希子は、恥ずかしさのあまり大声で泣き出すのだった。
「オッパイ娘の出来上がり」
泣きじゃくる沙希子を、タモツはそうからかった。沙希子の抜けるように白い肌に、黒いカップレス・ブラがきつく食い込んでいる。もともと大きいオッパイが絞り出され、一回り以上大きくなって、黒いブラの縁取りの中に強調されていた。
沙希子は鏡の中にマイクロ・ビキニのパンティとカップレス・ブラだけをつけた自分の姿を見て、大声を上げて泣き出した。その日以来、カップレス・ブラは沙希子の定番の下着になった。
また、心を閉じようとする沙希子に対して、タモツは具体的な行為をさせることで、その壁を破ろうとした。
最初にお互いの舌を吸い合うことに成功したタモツは、次に腰を使うことを教え込んだ。座ったタモツの上で沙希子が前向きや後ろ向きでつながる場合、ベッドに横になってタモツが上になった場合、沙希子を上にした場合、そして後ろからつながる場合など、タモツは色々なバリエーションの中で、沙希子に腰を使わせた。
最初はぎこちなかったものの、追い上げられて我を忘れると、沙希子は自分の気持ちのいい方法で腰を使うようになった。二人で頂点まで達した後、タモツが沙希子の腰使いをからかうと、沙希子は恥ずかしさに大泣きするのだった。
一方、タモツは沙希子の身体の開発にも余念がなかった。タモツが目をつけたのは腋の下だった。腋の下を舐めようとすると、ただでさえくすぐったい場所だけに、沙希子は猛烈に抵抗して腕を下げ、腋を固めてしまうのだ。何度か試みて沙希子の激しい抵抗にあったタモツは、とうとう最終手段に出た。
「今日は面白い遊びをしよう。きっと沙希子も気にいるよ」
そう言って、タモツは沙希子の手首を縛り、ベッドのヘッドに繋いだ。
「やめて下さい。お願いだから乱暴しないで」
それまで縛られたことがなかった沙希子は異常に怯えた。
「心配するな。痛いことはしないから」
両手首を拘束され、腋の下をむき出しにしている沙希子の上に跨ると、タモツはやさしく唇を奪った。いつものように舌を吸わせながら、タモツは沙希子を落ち着かせた。
「うう、あああん」
長いキスで沙希子の身体をほぐした後、タモツは喉元から鎖骨、そして乳房の膨らみへと唇を這わせていった。
(ああ、また左の乳首を苛められる)
タモツの動きを察した沙希子は密かに身構えた。しかし予想に反して、タモツの唇は乳房を通り過ぎ、いきなり腋の下を舐め上げてきたのだ。
「きゃあ、やめて」
沙希子は大声を上げて暴れようとした。しかし両手首を固く拘束されている上に、太腿の上にタモツが体重をかけているので、身動きがとれなかった。その無防備な腋の下を、タモツが強いタッチで舐め上げていく。沙希子は舐められる度に、ビクっ、ビクっと身体を震わせた。
「ひいい、いや。そこはいや。…ああん、…ああん」
沙希子の叫び声に泣き声が混じり始め、とうとう大声で泣きはじめた。せめてもの抵抗に首を激しくふりながら、沙希子は激しく泣きじゃくった。しかしタモツはそれを無視して、左右の腋の下を代わる代わる舐め続けた。
ついに獣のような叫び声を上げて、沙希子が痙攣した。涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにし、口元によだれを垂らせて、沙希子は失神した。
満足したタモツは沙希子の下半身に目を移した。今日の沙希子は、タモツがこの日のために用意したシルクのパンティを履かされていた。コットンに比べてシルクは染みがつきやすく、それが目立つのだ。案の定、薄い青色のシルクが湿って、大きな染みを作っていた。それは股間だけでなく、パンティの前側にも大きく広がっていた。味わったことのない強烈な快感に、沙希子はおしっこを漏らして失神してしまったのだった。
タモツは濡れて重くなったパンティを脱がすと、手首の縄を解いた。そして沙希子の脇に添い寝すると、やさしく髪を撫でた。
「ひどい」
夢から覚めた沙希子は、まだしくしくと泣いていた。
「もう終わったよ。沙希子が一杯感じてくれて、オレはうれしいよ。ほらみてごらん」
タモツがパンティを見せると、沙希子はそれをむしり取った。
「いや、やめて。どうして、私をいじめるんですか?」
「沙希子が良い子にしていれば、いじめないよ」
「もう二度としないで下さい」
「でも、お漏らしするほど気持ちが良かったんだろ?」
「言わないで。みじめです。…もう耐えられません」
「じゃあ、素直でいい子になるって約束しろよ」
タモツは髪をなでながら、沙希子をあやした。
「ほら、もう素直じゃない。早く約束しないと、もう一回やるよ」
「…素直な良い子になります」
沙希子は泣きながらそう誓った。

こうして子供をしつけるように、タモツは沙希子の身体に女の喜びを染みつかせていった。何も知らなかった沙希子は、毎日、新しい女の喜びに目覚めさせられ、じょじょにその虜になっていった。
「どうしてこんなことをするんですか」
沙希子は毎日、風呂場でお尻の穴に指を入れられて、そのたびに泣きわめいた。どんなに心を凍らせて人形になろうとしても、その行為だけは受け入れられなかった。
「よし、じゃあ、今夜、練習の成果をみてみるか」
二ヶ月間、毎日、沙希子にお尻の穴を締める訓練をさせたタモツは、意味ありげに笑ってそう言った。
その夜、いつものようにへとへとなるまで沙希子を喜ばせたタモツは、朦朧となっている沙希子を貫くと、おもむろに後ろに手を回し、人差し指をお尻の穴に入れた。
「いや」
思わずお尻の穴を喰い締めた沙希子は、あっと驚いた。
(なに、これ。私の身体、どうしちゃったの?)
喰い締めた瞬間に、沙希子の中に入っているタモツの形を、沙希子ははっきりと感じた。
「どうだ、オレの形がわかるだろう」
タモツが得意げにいった。
「ほら、もっと何度も締めてみろ。やらないと指をぐりぐりするぞ」
タモツに脅されて、沙希子は何度もお尻の穴を締めさせられた。おしっこを切る時のようにクイっと力をいれると、下腹の中の筋がひきつる。その時、タモツに渡された黒い張り型のような男の形が、下腹の中ではっきりと感じられるのだった。
(いやだ。こんな身体いやだ)
沙希子は泣きながら何度もお尻の穴を締めさせられて、身体の中にタモツの形を刻まれていった。

この二ヶ月間で、タモツは確信したことがあった。それは沙希子が、性欲の強い女だということだ。これまで本人も気がつかなかった性欲の強さをタモツが開発し、今や沙希子は一枚、一枚ベールを脱がされるように、その本性を現し始めていた。
タモツが責め始めると、沙希子は必ず泣き出す。それは身体をオモチャにされる悔しさや、恥ずかしさから来る涙だ。しかしそのまま責め続けると、身体の中から湧きあがって来る快感で、沙希子は訳がわからなくなり大泣きになるのだった。つまり泣くことで沙希子は自分の中のスイッチを入れ、自分の性欲を解放するのだった。
そこからの沙希子は、さかりのついた雌猫のようになる。そして意識が飛ぶまで、自らを追い詰めていくのだった。
例えばソファの前に立たせて、タモツはパンティ越しに沙希子のオマンジュウをやわやわと揉んでやる。タモツが仕込んだお陰で、今や少しの刺激で、沙希子は濡れるようになった。
「おい、もうオマンジュウが濡れてきたぞ」
タモツが意地悪く言うと、沙希子は必ず泣き出すのだ。
「沙希子は濡れやすい女だな。そのうち、触らなくてもオマンジュウの奥を濡らすようになるんじゃないか?」
「お願いですから、そんなこと言わないでください」
「だって、本当のことじゃないか。その証拠にほら、触ってないのにオッパイの先っぽが、固くなっているだろ」
沙希子は答えなかったが、カップレス・ブラで抉られている乳房を見れば、一目了然だった。
「本当はオッパイも揉んでほしいんだろ。ちゃんと答えろよ」
「…は、はい」
「はいじゃ分からない。ちゃんと言え」
「…オッパイも揉んで下さい」
これは沙希子の本心だった。オマンジュウをねちねちといじり続けられると、自分でもどうにもならないくらい、乳房が疼いて仕方がないのだ。すでに沙希子はパンティが重くなるほど濡れまくっていた。
「じゃあ、して欲しいことを言ってみろ」
「…オ、オマンジュウの中に入れて下さい」
「よし、じゃあ自分で入れてみろ」
タモツが沙希子の股間から手を離すと、沙希子は自分でサイドの紐を解き、下半身を露わにした。激しく濡れているので、パンティを脱ぐと内腿を伝って、それが垂れてくるのが見えた。
慌ててそれを隠すように太腿をぴたりと閉じると、沙希子はかがんでタモツのトランクスを脱がし、タモツの太腿を挟むようにソファに膝立ちになるのだった。そして片手でタモツをやさしく握ると、自分であてがい、ゆっくりと腰を下ろすのだった。
初めは恥ずかしげにゆっくりと、しかしすぐに我を忘れるように大声で泣きながら、沙希子は激しく腰を使うのだった。
そんな沙希子の姿にたまらなくなったタモツが乱暴に乳房を揉みこんでやると、沙希子は獣のような声を上げて果てる。その頃には、沙希子の垂らしたもので、タモツの太腿はびしょびしょになるのだった。

あの手この手を使って、タモツは二ヶ月間で沙希子をここまで追い込んでいた。しかしタモツが本当に狙っている目的は、まだ達成できていなかった。
(男はおしゃぶりが好きだね。ソープなのに、本番よりおしゃぶりを楽しみに来る客もあったよ)マキエは昔を懐かしむ目をしてそう言った。
(そんなに好きなら嫁さんにしゃぶってもらえばいいのに、恥ずかしいやら恐いやらで言えないんだと。確かにおしゃぶりを嫌がる女は結構いるよ。生理的にダメというやつ。でもそれだって持っていき方次第なのさ。とことん溶かしてやれば、どんな女も喜んでしゃぶってくれるよ。男のやりかた次第で最後の一滴まで絞りとって、ごくごく飲むようになるんだよ)
このマキエの言葉を、タモツは沙希子で実現したかったのだ。沙希子が自分から喜んでタモツをしゃぶるようになる。タモツの放ったものを、最後の一滴まで喜んで飲み干すようになる。その目的を達成すれば、沙希子はタモツから離れられなくなるのだ。
だが、何かの罰で脅して、無理やりそうさせるのではだめだった。あくまでも沙希子が自発的に喜んでやるのでなくては意味がないのだった。
残された四カ月間で、果たして沙希子をそこまで追い込めるのだろうか?タモツはあれこれと思いを巡らせるのだった。
一方、パソコンの中にある田川と沙希子の写真は、タモツにとってじょじょに憎むべき存在になっていた。一度きりとはいえ、沙希子の無垢の身体を奪った田川に、タモツは嫉妬を覚えるようになっていたのだ。
毎日洗っている沙希子の下着のどれかかに田川が手をかけ、沙希子の身体を好きにしたという事実がタモツを苦しめた。そう思うと、沙希子の下着を全部切り裂いてやりたくなるのだ。その歪んだ怒りが、沙希子をいじめる原動力にもなっていた。
そしてついにタモツは嫉妬に苦しむあまり、田川と沙希子の写真を消去してしまった。
(これでいいんだ。こんな写真は用済みだ)
半年の契約が終わったあと、沙希子はタモツの腕の中から飛び立ってしまうかもしれない。その時に沙希子を留める切り札はなくなった。
しかしタモツは胸のつかえがとれ、晴れやかな気持ちになった。

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