5.調教そして服従

隷属の沙希子

繁華街が住宅地へと変わっていく小さなビル群に囲まれた一角に、古びた旅館がぽつりと建っている。朽ち果てそうな生垣と古めかしい瓦屋根が、かつては正規の旅館として繁盛したころの面影をしのばせていた。しかし今は普通の泊まり客は殆どなく、外国人娼婦たちが客を引き込む連れ込み宿として、その世界では有名な旅館だった。以前、浮気調査の時にこの旅館を知ったタモツは、ターゲットを追って泊り込んだことがあったのだ。
タモツにその前まで連れてこられた沙希子は、一瞬身体を固くして立ち止った。
「高級ホテルのスイート・ルームにでも行くと思った?残念だったね」
タモツは抗う沙希子を引きずるようにして旅館の玄関をくぐった。
(まずはこいつに愛人という立場を徹底的に叩き込んでやる)
そう考えたタモツは、わざとこのボロ旅館を選んだのだった。
薄暗い旅館のホールにはカビの匂いが立ち込め、小石をはめ込んだ黒い廊下が奥に向って続いていた。勝手知ったるタモツは、ホール正面の無人のカウンターの上にある箱の中から鍵をとると、沙希子の手を引いて廊下をずんずん歩いて行った。
突然、突き当たりの角から、外国人の太った中年女が出てきた。女はすれ違い様に、強引に手を引かれて歩く沙希子の様子を見て大声で笑った。沙希子は早口でまくしたてた外人女の言葉の中に、「チャイルド・ポルノ」という言葉を聞き取った。その場にしゃがみ込んで、大声で泣きたかった。
奥から二番目の部屋の前に辿り着き、タモツが部屋の格子戸を開けると、小さな玄関が現われた。上がり框の向こうに一間の襖が立ててあり、右手は半間のドアになっていた。
タモツは靴を跳ね飛ばして玄関を上がり、襖を開けると沙希子を部屋の中に押し込んだ。廊下に飛び散らかった沙希子のパンプスを叩きに蹴り込んでから玄関を閉めると、タモツは右手のドアを開いた。
ドアの向こうは六畳ほどの大きさの浴室で、古めかしいタイルが床と壁に敷き詰めてあった。埋め込み式の大きな浴槽の脇の洗い場には空気マットが敷いてあり、隅には洋式トイレの便座がすえてある。タモツは湯船の蛇口を開きお湯を出すと、沙希子を放り込んだ部屋に素早く戻った。
その部屋は八畳ほどの和室で、全部の窓が目張り板で塞いであった。抹茶色の砂壁に囲まれた室内には、カビと体臭が混ざり合った独特の重い匂いが立ち込めていた。入ってすぐの天井からぶらさがった和風の照明から、白熱球の光が畳の上の古びた座卓を照らしていた。光が行き届かない部屋の奥は薄暗く、突き当たりの床の間の前にダブル・サイズの布団が敷いてあった。
タモツは茫然と立ち尽くしている沙希子の両肩をつかむと、入口から遠い上座に押しやり、座卓の前に強引に座らせた。傍らの冷蔵庫からビールを取り出だすと、座卓にふせてある二つのグラスをとり、なみなみとついだ。
「飲めよ」
「お酒は飲めません」
蚊の鳴くような声で沙希子が答えると、タモツは強引にグラスを持たせ、
「答えはイエスだけだ」と、冷たく言い放った。
沙希子は顔をしかめ、まるで毒をあおるかのように、ビールを半分飲み干した。
「ここに来る女たちは、客をつかまえて、それを股ぐらに咥え込むことで飯を食っている連中だ。愛人のお前も一緒。つまり、こういう部屋がお前にはお似合いということだ。気取ってないで、愛人は愛人らしく心を入れ替えるんだな」
(ひどい。私はそんな女じゃない)
沙希子はタモツの言葉にたまらず下を向いて、嗚咽を漏らし始めた。早くもビールの酔いが回ったのか、沙希子の顔が燃えるように火照ってきた。
二階から大きな物音と、それに混ざって女の激しいあえぎ声が聞こえてきた。
「たっぷり可愛がってやるから、お前も二階の女に負けないようにカワイイ声を出して頑張れよな」
(いや。そんなこと出来ない)
沙希子はあふれる涙を隠すように両手で顔を覆って、いやいやをした。
タモツがすっと立ち上がり、奥の床の間から小ぶりな段ボール箱を持って戻ってきた。
「愛人になったお祝いだ。買ってやるから、好きなのを選べよ」
段ボールの中には幾つかの小さな小箱が入っていた。
「早く選べ」
タモツに怒鳴られた沙希子は、訳もわからず一番小さい箱をとった。
「なんだ。遠慮するなよ。こっちを買ってやるよ」
タモツは沙希子が選んだ箱を取り上げてもとに戻すと、細長い大きな箱を取り出して沙希子の前に置いた。
「開けてみろ」
沙希子がおそるおそる箱を開けると、真っ黒なプラスチックの塊が出てきた。形を見てそれが何かを察知した沙希子は、あわてて手をひっこめた。
「なんだか分かるだろ」
「……」
男の性器を露骨に型取った黒いものが、何を意味するかぐらいは沙希子にも想像がついた。しかしあまりにも恥ずかしく、沙希子は口に出して答えることができなかった。
「澄ました顔して、知ってるだろ。これは股ぐらでズポズポ出し入れすると気持ち良くなるお道具だ。実はお前も持ってんじゃないか。沙希子も毎晩内緒でズポズポしてるだろ?」
「そんなことしていません」
「じゃあ、プレゼントだ。鞄にしまっとけ。でも今使って欲しければそのまま出しておいていいぞ」
ニヤリと笑うタモツにそう詰め寄られた沙希子は、こわごわと張り型をつまむと、バッグの中に押し込んだ。恥ずかしさにひきつった沙希子の顔を眺めながら、タモツはビールを飲み干した。
「さぁ、風呂だ。でもここの風呂場には脱衣所がないから、ここで素っ裸になるんだ」
「先に入って下さい」
「バカ野郎。一緒に風呂に入るのが愛人の大事な勤めだろうが」
タモツは立ち上がると沙希子の隣に回り込み、二の腕を掴んでむりやり立たせた。
「ぐだぐだ逆らうと、服を破くぞ。家に帰る服がなくなってもいいのか」
そう脅しながら、タモツは沙希子を揺すり上げた。
「やめて下さい。……脱ぎますから明かりを消して下さい」
「ダメだね。裸を見せるのも愛人の仕事だ」
沙希子がタモツの手を振り払うと、部屋の奥に逃げ込んだ。
「脱ぐから、来ないで」
布団の足元の暗がりに立った沙希子は、その言葉通り、タモツに背を向けたままカーディガンを脱ぎ始めた。
薄暗がりの中で沙希子の細い手がスカートの中に入り込む。タモツに中をのぞかれないようにかがみ込みながら、沙希子はこわごわとストッキングを脱いでいった。
最後には裸をさらすことになるのは分かっていた。それは沙希子にとって死ぬほど恥ずかしいことだったが、それ以上に服を脱ぐ姿をタモツに見られるのが恥ずかしかった。沙希子はスカートの中をのぞかれないように、慎重にストッキングを脱いでいった。
だが、沙希子に気付かれないようにそっとしゃがみ込んだタモツには、沙希子のスカートの中身が丸見えだった。暗がりの中に浮かび上がるスカートの下の白いパンティを、タモツは息を殺してのぞいていたのだ。そうとも知らず、沙希子は無理な姿勢で一生懸命ウエストをさぐると、ようやくストッキングとパンティの間に指を差し入れた。パンティがずれないように慎重にストッキングを脱いでいく沙希子の姿がいじらしく、早くメチャメチャにしてやりたいと、タモツは股間を痛いほど固くするのだった。
脱ぎ終わったストッキングを行儀よく畳むと、沙希子の手がモス・グリーンのワンピースの背中に回った。ファスナーをさぐりあてるとゆっくりと下し、ゆったりとしたシルエットのワンピースを脱いでいく。その後ろ姿に、いてもたってもいられなくなったタモツは手早く服を脱ぎ棄てた。
暗がりの中に浮かび上がった沙希子の後ろ姿に、タモツはごくりと生唾を飲み込んだ。沙希子はワンピースの下に半袖の白いカットソーを着こんでいた。身体にぴったり張り付いているカットソーとお尻を包んでいる白いパンティだけになった沙希子は、その体型を初めて露わにしたのだ。
手足が細く肩もきゃしゃで、ボーイッシュな感じがする沙希子は、おそらく胸もお尻も少年のように扁平だろうとタモツは思い込んでいた。
指でつっつくとすぐに肋骨に突き当たるような小さな膨らみに、小さな乳首が桜色に色づいている。胸よりも張り出したぽっこりしたお腹には、アサリのむき身のような子供っぽい丸いお臍がある。お尻も扁平で、柔らかい肉よりも固い筋肉がまさっている。足は棒のように細く、太腿の間は握りこぶしが入るくらいスカスカに空いていて、まるで小学生みたいに違いない。沙希子の風貌からして、大方の男が予想するのはそんな裸であり、タモツもそう思い込んでいたのだ。
ところが、タモツの目の前に現われたのは予想を覆す大人の女の身体だった。
細くまっすぐな脛の上にむっちりと張った太腿がぴったりと合わさり、大きく張り出したお尻を支えていた。お尻の肉はまったく垂れておらず、太腿の上でまるまるとしたカーブを描いている。白いパンティがそれをぴっちりと包みこんでいた。
沙希子がカットソーの裾をつかみ脱ぎあげていくと、みごとに引き締まったウエストがくねくねと現われ、お尻の丸みを一層際立たせた。背中の肉は薄く、その下で小さな肩甲骨が柔らかく動いた。大切な宝物を守るかのように、白いブラジャーが腋の下にきつく食い込んでいた。
沙希子の右手が再び背中に回るとブラジャーのホックを探し当て、片手で器用にホックをはずした。ブラジャーが勢いよく弾ける様が、前で包みこんでいる乳房の意外な大きさを感じさせた。肩からストラップを抜く拍子に、背中の脇から乳房の膨らみが少し顔を見せた。それはまるまると盛り上がっていた。
パンティの両脇にかかった沙希子の手が、それをいやいや下げていく。まるで桃のような形をした白いお尻が、恥ずかしげに顔を出してきた。太腿をぴっちりと合わせたまま、沙希子は膝を軽く曲げると中腰の姿勢になってパンティを膝まで下げた。そして太腿をつけたまま脛を跳ねるようにして、片足ずつ抜いていった。中腰になったせいで真っ白なお尻が誘うようにタモツの方にグイとせり出ている。そうとは知らずに、沙希子は恥ずかしそうにパンティから両足を抜いていく。その姿がいじらしかった。
沙希子はブラとパンティを手早くまとめると、脱ぎ終わったカットソーの下に慌てて隠した。沙希子をもっとイジめてやろうと、タモツが声をかけた。
「沙希子は意外にお尻が大きいな」
「いや、見ないで」
慌てて身体の前を両手で覆いながら背中を丸めた沙希子は、布団のすみにしゃがみ込み、とうとう声をあげて泣き出してしまった。
タモツは丸くしゃがみ込んで泣いている沙希子の後ろに、音もなく忍び寄った。そして沙希子の腰を思いっきり押した。いきなり押されてバランスを崩した沙希子が、布団の上に腹ばいに倒れた。タモツは素早く沙希子の膝の裏側に馬乗りになると、目の前にある沙希子のお尻を平手で思いっきり叩きあげた。柔らかいお尻の肉がプリンと揺れ、叩いた手の跡が赤く浮かび上がった。
「いやぁ、やめて」
お尻を庇おうとして伸ばした手を片手で押えこんで、タモツは余った手で沙希子のお尻を何度も叩き続けた。
「…いたい…いたい」桃のようにまん丸で柔らかいお尻の肉が、パチンと叩かれる度にぷりぷりと揺れる。叩かれる恐怖に緊張し思わず力むのだろう。可愛い尻えくぼがくっきりと現われた。抜けるように白い肌が叩き上げられ、みるみる赤くなっていく。タモツは狂ったようにお尻を叩き続けた。
「お願い、もう許して下さい」
「許してほしければ、こう言って謝るんだ」
休みなくお尻を打ちすえながら、タモツは許しの言葉を口にした。
「言わなければ、お尻の皮が破れるまで叩いてやる」
とうとう沙希子が、泣きながら許しの言葉を口にした。
「沙希子はいい子にしますから、お尻をぶたないで。やさしく可愛がって下さい」
「聞こえない…はっきりと…もっと大きな声で」
まるで沙希子の心に刷り込むように、タモツは沙希子に何度も何度もそう言わせるのだった。
「逆らった罰として、沙希子の恥ずかしいところを見てやる」
タモツはそう言い捨てると、両手で沙希子のお尻の肉をつかみ、左右にぱっくりと割った。
「いやぁ、やめて」
ピンク色のお尻の穴が谷間の底で絞り込まれ、可愛らしい顔を見せていた。その下にぽってりとした女の唇が恥ずかしげに顔をのぞかせていた。
(だめ、見ないで。恥ずかしい…)
タモツが顔を近づけてみると、唇の合わせ目がすでに潤み、光っている。谷間から顔をあげると、沙希子は泣きながら、両手でシーツをしっかりと握っていた。その手は小刻みに震えていた。
(こいつ尻を叩かれて、濡らしてるじゃないか)
タモツの胸の中にかすかな疑問が湧きあがった。

壁によりかかったタモツが余裕で足を伸ばせるほど、浴槽は大きかった。タモツは足を開き、その間に素っ裸の沙希子を立たせていた。沙希子は消え入りそうに両肩を小さくすぼめ、左腕で乳房を覆い、右手で股間を隠している。無意識に寄せられた乳房が左手の上で深い谷間を作り、その大きさを物語っていた。
沙希子は今まで、男に裸を見られたことは一度もなかった。田川との初体験も電気を消した暗闇の中で、布団の中に身体を隠し続けていたのだった。布団の中にもぐりこんだ田川に乳房をまさぐられ、乳首にキスされた時は、恥ずかしさで心臓が爆発しそうになった。そんな沙希子をいたわってか、田川は沙希子の花びらには指を這わせるだけで、そこを見たり、ましてやキスをしたりすることはなかった。
初めて、しかも明るい電灯の下で、男にしげしげと裸を見られている。沙希子はパニックで何も考えられなくなっていた。
「両手をうしろに回して肘を掴んでみろ」
生のお尻をぶたれるという恥かしいお仕置きが、よほど効いたのだろう。沙希子はタモツの命令に素直に従った。ゆっくりと手を背中に回すと、左右の肘をつかんだ。沙希子の両肩が伸び、上半身が反り返った。細い二の腕が身体の外側に隠れ、沙希子の身体が露わになった。
細いなで肩の下に鎖骨が窪みを作っている。そこから肋骨が透けてみえるほどきゃしゃな胸に、予想外に大きな乳房が息づいていた。それはしゃくりあげる沙希子の呼吸に合わせて上下に揺れていた。
生まれてから一度も太陽の下にさらすことなく、沙希子が大切に守り育ててきた乳房は、色白の沙希子の身体のなかでも際立って白かった。その抜けるような白さのところどころに、静脈が透けて見えていた。まるまるとした頂きに、ピンク色の乳輪がぷっくりと花を咲かせている。その中心には赤ん坊の小指ほどの可憐な乳首が、ツンと上を向いてすましていた。
「沙希子は意外とオッパイが大きいな。何カップだ?」
タモツのあけすけな質問に、沙希子は消え入るような声で答えた。
「……Eです」
タモツがグラビア写真や風俗で知っているいわゆる巨乳と呼ばれる女たちは、乳首が外側を向いている者が多かった。マキエのように垂れているのは論外としても、若い娘でも乳房の重みで乳首と鎖骨の間が間延びした感じになり、下から手ですくい上げると、乳房の肉と胸の間に指が挟まるような女も多かった。
しかし沙希子の乳房は大人の手に余るような特大のグレープフルーツを真っ二つに切って、それを胸に貼りつけたようにぷるんと盛り上がっていた。乳首は身体の正面に、しかも乳房の頂点からやや上の部分にあるので、まるで乳房に載せられているかのように上を向いていた。
「どうしてオッパイが大きくなるか知ってるか?」
「…分かりません」
「それはお前がスケベなことばかり考えているからだよ」
タモツにからかわれて、沙希子がしくしくと泣き出した。
これから半年間、タモツはこの乳房を存分に揉みしだき、捏ね回し、吸いつき、噛み、舐めまわすのだ。もっとも沙希子との愛人契約を半年にしたのは、契約を飲みやすくするための便宜的なものだった。その間に沙希子の身体をタモツなしではいられなくするのがタモツの狙いだった。マキエから教わった数々のテクニックや、女が心の奥に隠し持つ意外な心理についての知識が本当に通用するのか。タモツは興奮の中で、冷静に計算を始めていた。
沙希子が宝物のように大切に育て、今やタモツの所有物となった乳房の下に目を向けると、女らしいくびれたウエストの中心に縦長のお臍が上品に刻まれていた。それは美術館にある女神の彫刻のように美しかった。ここに舌を差し入れたら、沙希子はどんな声をあげるのだろうか。
その愛らしいお臍の下には乳房と同じくらい白くスベスベとした肌が下腹の曲線を描いている。なだらかな曲線が下りきる手前から、細く柔らかそうな恥毛が思い思いに縮れて萌えあがっていた。沙希子が絶対に見られたくない秘密の膨らみを隠すように、恥毛はまるい形でそこを覆っていた。しかし沙希子のは、生えかたが薄く毛の一本一本が細いため、その役割を果たしきれずに、膨らみの中心に刻まれた女の子の割れ目が透けて見えていた。
タモツは両手でお湯をすくうと、沙希子の股間にひとかけした。沙希子がびくっと身体をふるわせた。濡れた恥毛が股間に張り付いた。そこは柔らかい肉で盛り上がって、ぷっくりと膨れていた。
「ぷっくり膨らんでて、可愛いいじゃないか」
思わず手で握ってやりたくなるような膨らみだった。見上げると沙希子が恥ずかしさに真っ赤になって涙を堪えていた。
「褒めてやってるんだ。なんとかいえよ」
「…恥かしいです」
「ここが膨れているのが恥かしいのか?」
タモツが膨らみを指で軽く押しながら、からかった。
「やめて下さい。恥ずかしい」
「確かに恥かしいくらい膨れてるな。こんなに膨れている女は初めて見たよ」
「いや、もう言わないでください」
沙希子が泣き出した。
「よし、可愛いここに名前をつけてやろう。今日からここを沙希子のオマンジュウって呼んでやる。うれしいだろ?」
「…」
「なんとか言えよ。ここは何ていう名前だ?」
膨らみを押しながら、タモツは言葉で執拗にいたぶった。
「…オ、オマンジュウです」
「誰のだ?」
「沙希子の、沙希子のオマンジュウです」
「そうだ。ちゃんと言えたじゃないか」
そう言いながらタモツは沙希子のお尻に両手を回し抱きしめると、股間の膨らみに顔を埋めた。鼻先を強くおしつけ擦ると、薄い恥毛のざらつきが気持ち良かった。柔らかい弾力の中から、女の甘い香りが立ち上って来た。タモツはそのまま割れ目に舌を入れたい気持ちを抑えて、顔を上げると命令した。
「湯船につかって、オレの太腿にまたがって座われ」
沙希子は中腰になると腰まで湯船につかり、お湯の中で恥ずかしげに足をあげた。しかし湯の中でタモツの太腿をまたぎ終わると、沙希子は中腰の姿勢のまま動けなくなってしまった。そのまま腰を下ろすと、タモツの太腿にまたがることになる。沙希子の女の部分がタモツの太腿に直接触れることになるのだ。沙希子はそれがたまらなくイヤで恥ずかしかった。
タモツはためらっている沙希子の両肩に手をあてると、ぐいっと押し下げた。
「ああ」
沙希子は無理やりタモツの太腿の上にまたがる格好で座らされた。開ききった太腿の内側にざらざらした感触が漂った。タモツの太腿に生える剛毛が沙希子の敏感な部分に当たる。そのおぞましい感触に、沙希子は涙をこらえるのが精一杯だった。
タモツは脇の下に両手を差し入れると、沙希子を強引に抱き寄せた。タモツの胸板に沙希子の乳房がぶつかり、押しつぶされてぴったりと密着した。沙希子の身体は子猫のように柔らかく、力を入れて抱きしめたら潰れてしまいそうだった。死にたくなるような恥ずかしさと恐怖からだろう、沙希子の心臓がドクドクと脈打っている。その鼓動を裸の胸から直接感じながら、タモツは口先で沙希子の耳を探り当て、柔らかい耳を舐め上げた。
「あん」
いきなり耳を舐め上げられて、沙希子は思わず声を漏らした。
「抱きついてごらん」
タモツは耳を舐めながら囁いた。沙希子の両腕がおずおずとタモツの首に巻きついて来た。
「そうだ、いい娘だ。そうやって素直になれば、痛い思いをしなくてすむ」
タモツは脅すように沙希子の耳を軽く噛みながら沙希子に言い含めた。
「これからお風呂につかるときは、いつもこうやってオッパイをくっつけてオレに抱きつくんだ。分かったか?」
耳を食いちぎられるのではないかという恐怖に圧されて、沙希子はこくりとうなずいた。
「優しくして欲しかったら、こうするんだ」
タモツは沙希子の両脇に手をあてると、沙希子の身体をゆっくりと揺らした。円をえがくように沙希子の上半身を動かすと、沙希子の乳房がタモツの胸板の上で形を変えながら踊った。
「お風呂ではこうやってオッパイをこすりつけてオレに甘えろ」
タモツが手を緩めた後も、沙希子はタモツの胸板に乳房をこすり続けた。
沙希子の耳をふやけるほど舐めあげたタモツは、両手で沙希子の顔を挟み込みキスを強要した。
(まず大事なのはキスだ。自分の欲望を満たすことばかりに夢中になって、キスが上手くできない男は女をものにできないんだよ)マキエはそう言って、タモツにキスのテクニックを伝授した。まさに今、マキエに教わったテクニックを思う存分試す時だった。
「お互いの舌が溶けるほど吸い合うんだ」
タモツは沙希子の後頭部を抑えると、おぞましい蛭のような唇をおおいかぶせた。沙希子は思わず唇を固く結んだ。
「うっ」
突然、下腹部に鋭い痛みを感じ、沙希子はくぐもった声をあげた。タモツが沙希子の恥毛に指を巻きつけ力任せに一本引き抜いたのだ。
「いい子にしないと、オマンジュウの毛を全部抜いちゃうぞ」
タモツは指にまきついた恥毛を沙希子に見せつけると、再び沙希子の唇に吸いついた。沙希子はおずおずと唇を開き、タモツの舌をいやいや招き入れた。
こうして恥毛を抜き上げるという罰を使って、タモツは沙希子にキスを仕込んでいった。
タモツの首にしがみつき、その舌をやさしく吸えるようになった頃、沙希子は真っ赤に逆上せあがり、ふらふらになっていた。
タモツは沙希子の両足をすくって軽々と抱き上げると湯船を上がり、空気マットの上に沙希子をやさしくおろした。沙希子は朦朧としながら、両足をくの字に折り曲げて、マットの上にぺたりと座り込んでしまった。
身体じゅうが真っ赤に茹であがり、人形のように大人しくなった沙希子の身体に、タモツはボディ・ソープを垂らした。そして背中に胸板をぴたりとつけ、脇の下から手を差し入れて、乳房を鷲掴みにした。石鹸のぬめりの中で揉みしだき、存分に捏ねてやる。パンパンに張り詰めた乳房が形を変えてタモツの手からムニュっと逃げ回る。乳房をつかんだ時に手のひらに残る感触が心地よく、タモツは思う存分揉みまくった。
首筋から足の指まで沙希子の全身に石鹸を塗り終わると、タモツは沙希子のお尻を持ち上げて四つん這いにさせた。そして沙希子の股間にやさしく指を這わせて、花びらの裏側まで丹念にシャボンを塗り込んでいった。
「いやぁ」
それまで逆上せて朦朧としていた沙希子が、突然、息を吹き返した。タモツがシャボンでぬめった中指を、沙希子のお尻の穴にぐいと差し込んだのだ。
「やめて、やぁ。お尻はいやぁ」
言葉とは裏腹に、沙希子のお尻の穴は第一関節まで沈んでいるタモツの人差し指をキュッと咥えこみ、尻たぶには可愛い尻えくぼが現われるのだった。
「おねがい、やめてください」
初めて味わう異様な感覚に翻弄されながら、沙希子は大声を上げて泣きながら許しを乞うた。だがタモツはそれを無視して、ぐりぐり回しながらさらに深くまで人差し指を差し入れていった。そしてたっぷりと沙希子の内側の感触を味わい、沙希子を狂ったように泣かせてから、ようやく指を抜いた。
「ひどい。うう、ひどい、」
泣きじゃくる沙希子の身体をシャワーで洗い流し、タモツは沙希子を軽々と抱き上げた。お姫様ダッコに抱きあげられたタモツの腕の中で、茹であがって全身を真っ赤に染めた沙希子が、拗ねた幼な子のように顔を歪めて泣いている。それをあやすように揺らしながら、タモツは浴室を後にした。
掛け布団を足ではぐると、タモツは沙希子をそっと横たえた。お尻の穴をいじられるという、生まれて初めての経験にショックを受けた沙希子は、まだ、泣き続けていた。拗ねたその泣き顔が、たまらなく可愛かった。タモツは腕枕をして沙希子の横に寝そべると、沙希子の髪をやさしく撫でながら唇を覆いかぶせた。
ヌルリと舌を差し入れると、タモツは沙希子の股間をさぐり、恥毛をつまんで軽く引っ張った。その意味に気付いた沙希子は、泣きながらタモツの舌をいやいや吸い上げるのだった。
お互いの舌を存分に吸い合って、タモツはようやく唇を離した。まだ、しゃくりあげている沙希子の上におおいかぶさると、タモツは右の乳房の先にそっと口付けし、可愛らしくしこった乳首を口に含んだ。沙希子の身体がびくっと震えた。その反応をさらに高めようと、タモツは丹念に乳首を舐めていく。タモツの舌が呼び起こす感覚を無視しようと、沙希子は唇を噛んで懸命に声を押し殺した。
ひとしきり右の乳首を舐めた後、タモツの唇が左の乳房に移った。
「あん」
沙希子は思わず恥かしい声を上げてしまった。鋭敏に研ぎ澄まされた左の乳首が呼び起こす感覚は、右のそれとは比べものにならないくらい強かったのだ。身体全体に痺れたような感覚がひろがり、やがて腰がジンジンとシビれてくるのだった。
「いや、あん、あん、あん」
タモツが舐めるテンポに合わせて、沙希子は声を漏らしていく。
(どうしてなの?いやなのに何で声がでちゃうの?)
身体の中から湧きあがってくる甘え声は、沙希子が止めようとしても止まらなかった。
(ウブい女を仕込むには、いきなり本尊を攻めたらダメだ。オッパイはもちろん、耳や首筋、お臍や脇腹、果ては膝の裏や足の指まで、女は自分が感じる場所を色々と隠し持っているのさ。その中で一番の急所を探り出してやって、まず、そこをこってりと可愛がってやりな)
マキエの教え通り、タモツは沙希子の全身を探るつもりでいた。しかし偶然触れた左の乳首に沙希子が激しく反応するのを知って、タモツは腰を据えてそこを攻めてみることにしたのだった。
沙希子は初めての感覚に戸惑っていた。乳首を舌でくじかれる度に、いやなのに声が出てしまう。身体から力が抜けて、ともすれば自分からタモツの唇に乳首を強く押しつけたくなるのだ。
(やめて、頭がおかしくなっちゃう)
さらに足の指に力が入り、沙希子は思わず身体を弓のようにそらして腰を突き出したくなっていた。そんな沙希子の反応をみすかしたかのように、タモツはネチネチと乳首を舐め続けた。それは終わりのない拷問だった。自分の身体に湧きあがる恥かしい反応に抵抗しようと、沙希子はシーツを固く握り、いやいやと首を振り続けた。
突然、両足の膝の裏側をすくわれると、沙希子は身体を二つ折りに決められてしまった。
「いやぁ、やめて」
自分の太腿の間から、タモツが見下ろしている。今まで誰にも見せたことのない女の恥ずかしい場所が、タモツから丸見えになっているのだ。沙希子は大声で叫ぶと、腰を振って激しく抵抗した。
必死に抵抗する沙希子を抑え込みながら、タモツが沙希子を脅し上げた。
「大人しくしないと、またお尻を叩くぞ」
その言葉を聞いたとたん、沙希子は急に力を抜いて、大人しくなった。

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