2.初めて舐められた日

肉の記憶 麻里子二四歳

「麻里子は柔らかくて、抱き心地がいいね」

居酒屋からタクシーで移動し、たどり着いたラブホテルの一室で、鉄男は麻里子を抱きしめた。麻里子も自然と鉄男の首に腕を回すと、全身をあずけてきた。洋服越しに大きな乳房が押し付けられ、それが潰れて広がっていく感触が心地よかった。麻里子の甘い香りと柔らかい肉に包まれて、鉄男は早くも力が漲るのを感じた。

(これは夢か?夢なら覚めるなよな)

鉄男はそう念じると背中に回した手で麻里子のTシャツの裾をたぐり、その中へ手を忍び込ませた。直に触れた麻里子の背中は、スベスベしていて暖かかった。

早速、鉄男は背中から剥くように、Tシャツを脱がしにかかった。

「だめ、電気を消して」

麻里子が抗った。

「明かりを消したら、麻里子の綺麗な裸が見られないじゃないか」

「いや」

麻里子は鉄男を押しやると、両腕で胸を隠すようにガードした。

「どうしたの?」

「見られたくない。だって今日は急だったから…ブラとかイケてなくて。だから電気を消して下さい」

麻里子が恥ずかしそうに白状した。

「いいよ。そんなの気にしなくて」

「いやです。じゃあ、今日は帰ります」

「そんなにいやなの?」

「絶対にいや。今日のは見られたくないんです」

「わかったよ」

鉄男は部屋の入口にあるスイッチを切った。一瞬にして部屋が完全な暗闇になった。闇の中を探るように元の場所に戻ると、鉄男は再び麻里子を抱き寄せた。そして今度こそ勢い良く、麻里子の上半身を剥き上げた。

Tシャツを剥ぎ取った瞬間に、甘酸っぱい女の匂いが部屋中に広がった。そのまま背中に手を回し、麻里子が見られたくないと意地を張ったブラジャーのホックを外す。フルカップの大きなブラジャーが外れるとプリンとはち切れるように乳房の膨らみが開放され、飛び出てくるのが分かった。そのままブラを床に落とすと、目が慣れてきた暗闇の中に、真っ白い大きな乳房が浮かび上がった。それは鉄男の大きな手にもあまる、豊かな丸みだった。

鉄男はゴクリと唾を飲み込むと、冷静を装ってゆっくりと両の乳房に手を伸ばした。両手の指の腹を使って、乳房の輪郭を確かめるように撫でてみる。膨らみの稜線をなぞっていくと、すでにぷっくりと膨らんだ乳輪に突き当たった。その真ん中で、小ぶりな乳首が固くしこっていた。

(ギュッと絞って、メチャクチャに揉みまくってやりたい)

はやる心を抑えながら、鉄男は掌で膨らみの全体を包み込み、やさしくゆっくりと絞り上げた。

もしこれが十代の娘だったら、張りがある反面、乳房全体がまるで筋肉のように固く弾き返してくるものだ。しかし二十代半ばの麻里子の乳房は適度に柔らかく、それでいて揉み込んでいくと乳房の中に硬い芯をもっていて、鉄男の握力を弾き返してくるのだった。

(まさに揉み頃、しゃぶり頃だ)

鉄男はそれを味わうようにゆっくりと絞り上げていった。

「はん、あああん」

麻里子が小さな声で喘いだ。

「痛い?」

「大丈夫。ちょっと痛くされるのが好きなの」

そう白状した麻里子は鉄男の首に回した手に力を込めて、自分からキスを求めてきた。鉄男は乳房をやんわりと揉み上げながら、麻里子の口唇を奪った。

肉厚の柔らかい口唇を割って、舌を滑り込ませる。麻里子がねっとりとそれに応えてきた。舌をからめながら唾液を吸い上げると、甘い味がした。長いキスが始まった。パンパンに張り詰めた乳房を好きなように揉み込みながら、鉄男は麻里子の顔が歪むほど強く口唇を吸い、舌を絡め合った。

「あああん…」

絡め取られた舌を強く吸われてくぐもった声を上げた麻里子が、全身をこすりつけてきた。鉄男は右手を乳房から下に滑らすと麻里子のジーンズのホックを捉え、それをひねるように外した。

「だめ。先にシャワーを浴びてきます」

鉄男の体を押しやった麻里子はやさしく微笑むと、床に落ちたTシャツとブラジャーをさり気なく拾い、するりとバスルームの中に消えていった。

(なかなか焦らすじゃないか)

暗い部屋にとり残された鉄男はゆっくりと服を脱ぐと、麻里子の後を追って、バスルームに近づいていった。

バスルームの中からはシャワーを浴びる音が聞こえる。試しに音がしないようにそっとドア・ノブを回すと、鍵はかかっていなかった。鉄男は静かにドアを開けた。眩しい浴室の光の中に、浅葱色のシャワーカーテンが目に痛かった。カーテンの前にそっと近づき、声をかけた。

「一緒に入らせてくれよ」

「ええ!そんな…。ダメですよ」

麻里子が驚いた声を上げた。それに構わずむしるようにカーテンを開けると、鉄男はバスタブをまたいで、ずかずかと入っていった。

「や、やだぁ」

麻里子は慌てて左腕で抱えるように乳房を隠し、右手を太腿の合わせ目にかぶせると、素早く背を向けた。とっさに前を隠したものの、明るい光の中に真っ白なお尻が丸見えになった。それは白い背中の思った以上に高い位置から盛り上がりが始まっていて、桃のような綺麗なカーブを描いていた。お尻の肉には海で日焼けした名残なのか、うっすらとビキニの水着の跡が白く浮かび上がっている。どうやら麻里子はかなりセクシーなビキニを着ていたようだ。白い焼け残りの跡は、お尻の割れ目ギリギリから始まっていた。

(この水着姿をナマで見たら、堪らんだろうな)

鉄男はお尻に両手をあてがうと、じんわりと柔肉を握った。そのまま両手で下から支えるように尻たぶを持ち上げ、谷間を左右に割り開いた。谷間の奥に紫がかったピンク色のアヌスが絞り込まれているのが見えた。

「いや、変なことしないで…、恥ずかしい」

谷間に隠れていたアヌスがむき出しにされ外気に触れたことで、そこを覗かれていることに気づいたのか、麻里子が手を振りほどこうと腰を振った。鉄男はおとなしくお尻を開放し、今度は両手をウエストのくびれに滑らすと、背後から麻里子を抱きしめた。背の低い麻里子の肩越しに乳房を覗く。麻里子は両腕で乳房を寄せ抱えていた。その腕の中で、上を向いてしこっている乳首が丸見えになっていた。

(胸を隠すのではなく、実は見せて自慢しようとしているんじゃないか?)

確かに釣鐘型にプリンとしたカーブを描く麻里子の乳房は、自慢するだけのことはある。殆どの男が我を忘れて揉みしだき、むしゃぶりつきたくなるようなそれは、彼女の大きな武器なのだろう。その最大の武器を、今、麻里子は鉄男に誇示しているのだった。

(じゃあ、遠慮なく自慢のオッパイを見せてもらうよ)

鉄男は麻里子の自尊心をくすぐる言葉を投げかけた。

「綺麗な胸だね。もっとちゃんと見せてくれよ」

そう囁きながら肩を回すようにリードしてやると、案の定、麻里子がゆっくりとこちらを向いた。

初めて裸を見られた恥かしさで、麻里子は顔を真っ赤に染めている。その表情を楽しみながら、鉄男はバスタブの縁に腰をかけた。目の高さが顔から首へ、そして鎖骨と下がっていき、ちょうど麻里子の乳首のあたりに定まった。プリンと張り出た大きな乳房に比して、麻里子の乳輪は慎ましやかだった。ピンク色のそれはすでにぷっくりと膨れており、赤ん坊の親指ほどの乳首が、かわいらしく尖っていた。

「本当に大きくて綺麗だ」

「あんまり見ないで、恥ずかしい」

それに応えず鉄男は乳房に口唇をよせると、尖っている乳首をついばんだ。口のなかにほおばり舌でゆっくりところがしてやると、麻里子が喘ぎ始めた。

「オッパイが感じやすいんだね」

「…うん」

「もっと舐めてあげようか?」

「…」

「でもその前に、麻里子の全部が見たいな」

鉄男は視線を胸から下腹へ、そして太腿の合わせ目へと移動させた。そして股間の前で、そこを隠すようにかぶせている麻里子の両手をつかんで立ち上がり、バンザイをさせるように上に釣り上げた。その瞬間、みっちりと逆三角形に生え揃った草むらが、垣間見えた。

「いやん」

恥ずかしがった麻里子が本能的に身をかがめようとした。そうはさせまいと鉄男は麻里子の両手を右手でまとめて掴み、麻里子の頭の後ろに固定した。そして、素早く腰を落とすと、麻里子のお臍を口唇でとらえ、いきなり舌を差し入れた。

「いやだ、鉄ちゃん。くすぐったいよ」

暴れる麻里子の腰を抱き寄せ、鉄男は執拗にお臍を舐め続けた。

「ああん。だめだよ。恥ずかしい。…変になっちゃうよ」

隙あらば鉄男の舌から逃れようと暴れていた麻里子の体から、徐々に力が抜けてきた。その頃合いを見計らって、鉄男はお臍の下へと口唇を滑らせていった。スベスベした真っ白い下腹のカーブをゆっくりと口唇でなぞりながら降りていくと、鉄男の口唇がついに麻里子のみっちりと生えそろった草むらの縁をとらえた。

その瞬間、まるで釣り上げられる寸前に逃げ出す大魚のように、渾身の力を振り絞った麻里子が鉄男の手を振りほどき、バスタブの床に座り込んだ。

「だめ。もうやめて!」

麻里子が全身を隠すように床に丸まった。

「どうしたの?」

「だって、いきなり凄いことするんだもん。恥ずかし過ぎて、もうだめだよ」

「そうかな?みんなこれくらいのことしてるよ。彼だってするだろ」

「しないよ。そんなのされたことない」

麻里子が拗ねたような顔で言い返してきた。

しゃがみこんだ体を二つ折りにして胸を太腿におしつけているせいで、乳房の膨らみが大きく脇に飛び出して見えた。

(…なるほどね)

麻里子のウブな反応は、胸の大きい女の子にありがちのことだと鉄男は合点がいった。胸の大きさに自信を持っている女の子は得てして胸が大きいことだけで、男をとりこに出来ると勘違いしているものだ。逆にいえば体が貧弱な娘ほど、セックスに対して貪欲で積極的だともいえる。なぜならば自分の体は魅力が足りないと思い込んでいるので、その分相手を楽しませようと努力するからだ。

男にとってどちらが魅力的かといえば、後者の女に決まっている。例えば誰が見ても不釣り合いなカップルがいたとする。その場合、美女をものにする醜男は例外なく金持ちと相場が決まっている。そしてその逆のケースは、裏で女のセックスがものをいっているのだ。つまり容姿端麗で経済力もある条件のいい男が、風采の上がらない女と付き合っているのは、その女のセックスの上手さに骨抜きにされているケースが殆どなのだ。

可愛くてスタイルが良くて、オッパイも大きい小暮麻里子は、典型的な努力しない側の女なのだろう。おそらく今までの貧しい男性経験の中で、エクスタシーを感じたこともないのかもしれない。

しかし言い換えれば麻里子の豊満な体は未開発のままとも言える。この体を蹂躙し、征服した男は未だいないのだ。そう考えると、鉄男はますます力が漲ってくるのを感じた。

「分かった。もうやめるから立ち上がって」

鉄男はあやすようにそういうと、麻里子の二の腕をやさしく掴み立ち上がらせた。

「ほら、しっかり抱きあえば、裸を見られないで済むよ」

鉄男は冗談っぽくそう言うと、立ち上がった麻里子の体を抱きしめた。

「バカ」

麻里子が鉄男の首に腕をからませてきた。

浴室から部屋に戻っても、麻里子は明かりをつけることを許さなかった。鉄男がわざと開け放しておいた浴室から漏れてくる薄暗い光だけに照らされたベッドの上で、鉄男は執拗に麻里子の乳房をいじりまわした。

思った通り麻里子は自分の胸に絶対の自信を持っており、それを好きにさせることが彼女の一番の愛情表現なのだった。それだけで男が喜び、満足するものだと勝手に思い込んでいる。それ故に、鉄男に胸を自由にさせることに関しては、麻里子は大胆だった。

「ねえ、噛んで…」

麻里子にねだられて、鉄男は乳房を甘く噛んだ。

雪のように白い丸みの中に、歯型と一緒にピンク色の吸い跡が鮮やかに記される。乳輪の周りはもちろん、膨らみの真横、下乳、そしてブラからはみ出る谷間にも、鉄男は次々とキスマークをつけてやった。

「オッパイをキスマークだらけにしてあげる」

麻里子が笑った。

「それは困るよ」

「ブラでも隠せないとこにもつけるからね」

「いやだぁ。ひどいよ」

口ではそういうものの、麻里子はまんざらでもない様子だった。

麻里子がリラックスしてきたのをみてとった鉄男は、いくら揉んでも揉みあきない乳房をいたずらしながら、甘い香りがする脇の下を舐め回した。すべすべとした脇の下に舌を這わせると、麻里子はびくりと震えながら声を上げた。

「はっ、はっ、はっ、ああん、はっ、はっ…」

興奮で荒くなっていく呼吸の中に混ざる喘ぎ声が、徐々に大きくなってきた。麻里子は喘ぎながら太腿をぎゅっと閉じて、自らそこを締め付けることで快感を得ているのだった。鉄男は膝を使って麻里子の太腿を割り開くと、その間に腰を割りこませた。

「う、ううん」

体を開かれた麻里子が甘えたような声を出した。

鉄男はゆっくりと手を下に伸ばしていった。しかし鉄男の手が太腿の合わせ目に届く前に、麻里子が意外なことを言った。

「もう大丈夫だから、きて」

「ええっ?触られるのも嫌なの?」

「…う、うん。なんか恥ずかしくてだめなの」

「いつも触らせないの?」

「うん」

耳、口唇、首筋、乳房、脇の下、この辺までが、麻里子が男に許す範囲なのだ。そこを攻められることで、麻里子は十分に潤い、男を受け入れることができる。それはこれまでの乏しい経験から学んだことなのだろう。そして、そこを少しでも踏み越えようとした瞬間、麻里子は臆病な子ウサギのように激しく逃げまわるのだ。そう考えると鉄男はますますムラムラしてきた。

(そうはいかないぞ。強引にとっつかまえて、メチャメチャにしてやる)

鉄男は一計を案じた。

「じゃあ入れるよ」

「…うん」

麻里子が小声で応えた。

暗闇の中で、麻里子の足の間に陣取った鉄男は、両手を麻里子の膝の裏側にあてがうとすくうようにして、麻里子をさらに大股開きにした。その体勢から、鉄男を咥え込むつもりで麻里子が身構えた。その隙をついて、鉄男はいきなり屈みこんだ。そして有無を言わせず麻里子の股間に口唇をぴたりと押し付けた。

「いやぁ、だめぇ!」

驚いた麻里子が大声を上げ、鉄男の口唇を外そうと暴れた。しかし鉄男はその動きを巧みにいなしながら、ぷっくりとしている肉の口唇の奥へと舌を差し入れていった。そこは予想通りに十分に濡れそぼっていて、溢れてくる涎に口唇がつるつると滑った。その滑りを利用しながら、鉄男は肉襞のさらに奥へと舌先を伸ばしていった。

「いや、鉄ちゃん。いやだってば…ひどいよ。もうやめて」

麻里子が両手で鉄男の頭を掴むと引き離そうともがいた。しかし柔道有段者の鉄男にとって麻里子の動きを封じることなど朝飯前だった。巧みに足の動きを封じながら、鉄男は麻里子の両手を内側からひねるようにして、頭から引き剥がした。

「痛い。手が痛い。ひどい、鉄ちゃん。ひどいよ。ああん、だめ。そんなことしないで、…いやだってば、いやだよ。お願い…そこしないで」

麻里子が泣き声になってきた。そうしているうちにも、鉄男の舌は肉襞の中を自在に這いまわり、ついに麻里子のクリを探り当てるのだった。それは想像した通りに小さく、つぶっとした可愛らしい突起だった。

(エロい体をしているくせに肝心のところが育ってないな。きっとオナニーもあんまりやってないんだろう。これからたっぷりと教えこんで、一人前の女の大きさに育ててやる)

鉄男は、麻里子の肉襞を舌でかき回し、クリに口付けした初めての男であることを確信して、異様な興奮を覚えた。そしてクリを口唇でついばむと、十分に唾を溜めてある口の中へやさしく咥え込んでいった。

(ダメだよ、麻里子。どんなに暴れても絶対に逃さないから)

たっぷりと唾液で湿らせた口唇と舌を慎重に使って、鉄男はクリを嬲りはじめた。

「ひぃぃ」

執拗なクリへの攻撃に、麻里子は空気の漏れたような声を出して、体を硬直させた。

「あああん、ああん」

口唇で挟んだクリを舌でやさしく転がしてやると、麻里子の体から抵抗する力が徐々に抜けていった。鉄男が舐め回すリズムに合わせて、とめどなく溢れ出る本気の涎が、麻里子のお尻を伝って流れていき、シーツに大きなシミを作り始めていた。

(なんだ、嫌がるわりには凄く濡れやすいじゃないか)

麻里子の反応に自信を深めた鉄男は、さらにじっくりと舌を使ってクリを転がした。

「はあああん、…凄い。恥かしい。はああん、だめ。凄いよ」

麻里子は甘えるような声をあげながら、身を震わせ始めた。

そのまま根気よく舐め続けると、ついにクリが膨らみだした。それは麻里子の興奮の大きさを伝える証拠だった。鉄男はぷっくりと膨れてきたクリを、再び口唇で挟み直し、今度はつるりと吸い上げてやった。

「ひいいい」

麻里子がひときわ高い声を上げた。それに構わず、鉄男はリズムをつけて吸い続けた。ついに口唇の間でしごかれたクリの皮が、つるりと剥けた。麻里子が喘ぎながら、体をがくがくと震わせ始めた。そこまで追い込んで、鉄男はようやくクリ攻めから麻里子を開放してやった。むき出しにされて敏感になったクリをこれ以上無理にいじりまわすと、慣れていない娘には刺激が強すぎる。場合によっては快感よりも、痛みを感じるものなのだ。そこで鉄男は直接刺激することをやめ、攻め手を変えることにしたのだった。

鉄男は再び麻里子の股を大きく割り裂くと、その中心に固くいきり立ったものをズブリとねじ込んだ。内股までべっとりと濡らすほど、十分に濡れそぼっている麻里子の秘裂は、つるりとひと呑みに鉄男を受け入れた。そのまま一気に根本まで差し込み、鉄男は大きく膨らんで皮が剥けたばかりのクリを擦るように腰を回し始めた。

「ああん、凄い、凄い」

恥ずかしい場所を初めて舐められた悔しさを晴らすかのように、麻里子は鉄男の背中に爪をたてて、よがってきた。

執拗に腰を回し、麻里子を十分よがらせた後、いよいよフィニッシュに向かって、鉄男は縦の動きを開始した。大きなストロークでゆっくりと腰を打ち込むと、麻里子が獣のような声をあげた。

「はああん、はああん、はああん」

その声に応えるかのように、鉄男はゆっくりとストロークを打ち続けた。大きく腰を突き入れると、先端がグリっとしたものに当たる。そこからゆっくりと引き抜いていくと、麻里子の秘裂がすがりつくようにくっついてくる。まるで鉄男を逃すまいとするかのように、しっかりと咥え込んでいるのだ。その感触を楽しみながら、鉄男は吸い付きの限界点を越えるところまで引き抜いていく。すると秘裂がつるりと滑って、もとの場所へと押し戻されるのだった。そうやって先端を残したところまで引いた鉄男は、そこから一転して再び深いストロークを打ち込んでいく。この一連の動きをまるでマシンのように正確に繰り返していくことで、鉄男は麻里子を絶頂へと追い込んでいった。麻里子の喘ぎ声がどんどんと大きなものになり、もはや意味をなさない叫びとなっていった。しっぽりと濡れたアソコが、ストロークの動きで、ぬかるみをこねるような音を立て始めた。

「凄いよ、麻里子。もうグチョグチョになってる」

鉄男は麻里子の状態をわざと言葉にして耳元で囁いた。自分のアソコが音を立てていることの恥ずかしさを思い知らされて、麻里子の興奮はますます高まっていった。

「あああ。いや、恥かしい。ねぇ、もう許して…お願い、もう壊れちゃう」

今まで味わったことない激しい快感に、麻里子が許しを乞い始めた。お腹の中から絞り出てくるようなその言葉に、鉄男もどんどん高まっていった。そしてついに脈を打つリズムで締めあげてくる麻里子の中に、鉄男は溜めにためていた精汁を思い切り放った。

初めて経験したエクスタシーに蹂躙され、ぐったりとなった麻里子は、タオルケットに肩まで埋まってぼんやりと天井を見ていた。その横にぴたりとくっついた鉄男は、麻里子のタオルケットをゆっくりと下げ、再び胸を丸出しにした。

呼吸に合わせて真っ白な乳房がゆっくりと上下している。麻里子の乳房は仰向けになっても横に流れることがなく、量感を保っていた。鉄男は乳房の上を指でなぞるように、いたずらを始めた。

円を描くように指で乳輪をなぞる。そして乳首をそっとくじいてやると、それはすぐにぷっくりと膨れてきた。

「本当に綺麗な胸だね」

「結構気を使って、形が崩れないように体操とかしてる」

「努力の賜物だね」

「そうですよ。そんな苦労も知らないくせに、男の人って大きけりゃ、それでいいんでしょ?」

麻里子がくすぐったそうに掌で乳首を隠した。そして鉄男の目をちょっと睨むと、拗ねるように背中を向けた。

「人によるんじゃないかな。小さいのが好みの男だっているよ」

「そうなの?」

鉄男の方に向き直った麻里子が、目を覗き込みながら聞いてきた。

「じゃあ、鉄ちゃんは?」

「うーん、形によるな」

麻里子が笑った。

「麻里子の胸は好きだよ。凄く綺麗な形だ」

「ありがとう。でも大きいのって大変なんですよ。肩は凝るし、走ると揺れて痛いし。体育の時なんか、男子にジロジロ見られて恥ずかしい」

「ああ、体育の時に恥ずかしいという話は聞いたことあるね」

「プールなんて最悪。ちゃんとした競泳用の水着じゃないと、学校でまとめて売ってるような安いスク水なんかは、私に合うサイズがないんですよ。そういうのだと泳いでいるうちに胸の間に水がバンバン入ってきて、もう水泳どころじゃない」

「ははは。でもオレも中高生の頃は、プルーサイドで好きな女の子の水着姿を盗み見してたな」

「そうでしょ。男子は絶対見てる。盗み見じゃなくてガン見ですよ。それで陰で、小暮は胸デカ過ぎとか噂する」

「クラスでナンバーワンとか?」

「そうそう。わざと聞こえるように言う男子もいて、本当にいやだった」

「そいつは麻里子のことが好きだったんだよ。だから本当は麻里子のオッパイを触りたくて、わざと言ってたのかも」

「いやだ。触りたいなんてキモい」

「しょうがないさ。モテたと思って気にしなければいい」

「そういえば、私、女の子にもよく触られた」

思い出したように麻里子が言った。

「胸を?」

「そう。体育なんかで着替える時に、見せてとか、触らせてとかよく言われたな」

「頼まれたら触らせるの?」

「女の子同士ですから触らせますけど、一度、変な子がいて、触らせた後に胸の先っぽにキスさせてってせがまれた。断ったら、その後、無言でトイレについてくるようになった。それで一度、放課後のトイレで個室に連れ込まれて抱きつかれて、もう胸なんかもみくちゃにされてブラはずらされちゃうし、スカートの中に手を突っ込んできて、太腿の間に強引に手を差し込んできて、ゴムをくぐってパンツの中まで指を入れようとして来て…必死に逃げたけど、あれは怖かったな」

麻里子が思い出したかのように顔をしかめた。

「そいつレズ?」

「そうだったみたい。途中で転校してくれたからよかったけど、転校先からも手紙が来た」

「なんだって?」

「私のことが忘れられないみたいな、キモいことが書いてありましたね。捨てちゃいましたけど」

麻里子がレズの標的になったということが、妙にそそってきた鉄男は、その話を根掘り葉掘り聞きたくなった。

「へー、ひょっとしてエロいことも書いてあったんじゃないの?」

「なんか、授業中、私の後ろ姿ばっかり見ていて、シャツの下に透けて見えるブラの線が気になって勉強に身が入らなかったとか」

「それで?」

「うーん、プールの前に着替えている時に盗み見た私の体が忘れられないとか…そんなことが書いてあった」

「オッパイ触らせてとかは?」

「ははは、男の子じゃないからそこまで露骨じゃないけど、一度だけ生で触らせてもらった時の感触が今でも手に残っていますって…もういいじゃない、そんな話」

思い出して照れくさくなったのか、麻里子がタオルケットの中に逃げ込んだ。

「麻里子はモテるね」

そう言って鉄男が笑うと、麻里子がタオルケットから顔を出して、また拗ねた顔をした。

「しょせんヒトゴトだから、そうやって笑いますけど、通学の満員電車では痴漢に狙われるし、おまけにブラも大きいサイズのはかわいくないし。…結局、巨乳なんて邪魔なだけですよ」

「世の中には胸が小さくて悩んでいる娘もいるのに、贅沢だな」

「確かに全然ないと困るけど、まあ、Cカップくらいが理想じゃないかな」

「ふーん、そんなふうに考えていたんだ」

「しかも胸の大きな女はセックスが好きだとか、決めつける馬鹿な男もいる…」

「嘘だろ」

「本当です。最初の彼氏がそうでしたから」

「いつの話?」

「高校の時ですよ…」

話しによれば麻里子は高校二年の夏に初体験を済ませていた。その年の春に、同じクラスになった男子に告白された麻里子は、すぐに付き合い始めたという。そして付き合ってから一週間後に、二人は学校の帰り道に近くの公園でキスをした。

「初めてのキス?」

「うん。でも感動も何にもなかったなぁ。ヌラっとして、こんなもんかって感じだった。中学二年くらいから周りがキスとかやり始めてたから、私も少し焦っていて、勢いでしちゃった。だから感動がなかったのかも。でも相手はどんどんエスカレートしてきて、毎日キスしているうちに、舌も入れてくるし、胸とか触りだしてきた。まあ胸くらいいいかと思っていたら、そのうち制服の中に手を入れてきて、ブラの中に手を突っ込んで…じかに触ってくる」

「積極的な彼氏だね。麻里子はいやじゃなかったの」

「ちょっと恥ずかしかったけど、まあ、いいかって」

「随分、気前がいいんだね」

「今、考えたらそうですね」

そういって麻里子が笑った。

「きっと嫌われたくなかったからかな。そんなに好きじゃなかったけど、初めて本格的につきあった相手だったし、振られたくなかった。そこにつけ込まれたわけ」

「どんなふうに、つけこまれたの?」

「つきあって一ヶ月くらいで、もう平気で服の上からバンバン胸とか揉んでくるし、じかに手も入れてくるようになった。そのうちブラをずらされてナマで見られちゃったし、先っぽにキスされて、…吸われちゃった」

「おいおい、それって部屋の中とかじゃなくて外だろ?」

鉄男の指摘に、麻里子は真面目な顔で応えた。

「神社とか公園とか屋上とか、絶対に人が来ないところだから大丈夫です」

「そういう問題か!」

麻里子はツッコミを無視して話を続けた。

「それで公園でデートした時に、とうとうスカートの中にまで手を入れてきた。さすがに拒否ったら、そいつ変なこと言うんですよ」

「なんて?」

「パンツを汚したら、お母さんに怒られるだろ。だから脱いじゃえば。だって」

「面白い奴だね」

「この人バカじゃないって思ったけど、あんまりしつこいから、パンツの問題ではなくて、これ以上は外じゃいやだって、はっきり言ったんです。そしたらラブホ行こうって。お金はあるから大丈夫っていうから…」

「結局、行った?」

「…うん」

「それで初体験」

「そうです。もう最悪。死ぬかと思うくらい痛かったし、そいつ汗臭いんですよ。それまで抱き合っていた時はちょっと臭うな、くらいだったんですけど、裸で抱き合ったら、すごい汗っかきでぬるぬるで臭い。オッパイばっかりゴリゴリ揉みくちゃにされて胸は痛いし、いきなりつっこまれたアソコは裂けるほど痛いし、もう早く終わらないかなって感じで、超最悪。しかもその日、二人とも自転車ですよ」

鉄男は思わず笑ってしまった。

「自転車でラブホって考えられます。ダサいったらありゃしない。もう消したい過去。帰りに自転車漕ぐとサドルにあたってあそこがひりひりするし、家まで立ち漕ぎを続けて、ホントに最悪だった」

「その彼とはそれっきり?」

「その後、夏休みに今度は家に誘われて…。親がいないから来いよって、流れでいくことになって。でもその部屋がすごく汚いんですよ。親は部屋に入れさせないとか威張ってたけど、てめえで掃除くらいしろって感じ。しかも部屋中、やつの汗の臭いがする。もう吐きそうになったけど、抱きついてくるし。さすがに無理だったから本気で拒否ったら、なんて言ったと思います」

「また、パンツ脱げって?」

「違いますよ。お前、胸が大きいからエッチが大好きだろ、隠さないで正直に言えよだって。さすがの私もふざけるなってブチ切れて、もう別れるっていったら、別れる前に一度でいいからフェラしてくれだって」

「ははははは」

あまりに話がリアルに展開するので、鉄男は大笑いした。

「こいつホントにエロでバカだと思って、速攻で走って帰りました。それで付き合うのもやめて、それっきりです。もう男はこりごりになって、その後はずっと処女を守った」

「そういうのは処女っていわないぞ」

「だからセカンド・バージンですよ。そのセカンド・バージンを破ったのが今の彼」

今時の女の子にしては、経験人数の少なさに、鉄男は驚いた。

「ええ、じゃあ、俺は麻里子の三人目?」

「そうですよ。不思議ですか?」

「いや、今時だからもっとやってると思った」

「やっぱりね。小暮は胸が大きいから、色んな男とやってるって思ってたんでしょ?」

麻里子が拗ねたように睨んだ。

「いやそうじゃなくて、今の若い子はエッチにフランクだから」

「若い子にもいろいろ種類があるんです。確かにエッチばっかりする子もいますけどね」

「今の彼氏もよくないの?」

「なにが?」

「その…、エッチの相性」

「うーん、微妙。乱暴はしないから痛いとかはないけど、やっぱこんなもんかなって感じかなぁ」

話を聞きながら、鉄男は麻里子と彼氏のセックスが知りたくなった。相手の男を勝手に想像し、その男が麻里子とエッチしていると思うだけで異様に興奮してきた。

「彼とは普通です。キスしたり、胸さわったりしてきて、で、ほどなく入れて、動いて…そんな感じ。普通のエッチですよ」

「四つん這いになって、バックからもやるだろ?」

「やだぁ。そんな恥ずかしい恰好しませんよ」

「正常位だけなの?」

「うん」

「ホントかなぁ。でも一晩で何回もするんだろ?二十歳代だったら、三、四回は軽いもんな」

「ええっ!そんなにしませんよ。つきあい始めから一回で終わったし、それを週に二度くらいですよ」

「彼氏はそれで満足なの?」

「満足なんじゃないですか。デリケートだから途中でやめちゃう時も結構あるし…」

「ええっ、そういう時に麻里子はどうするの?」

「どうもこうも黙って寝ますよ」

麻里子がふてくされたように言った。ここぞとばかりに、鉄男はシモネタのレベルを上げていった。

「彼はアソコを舐めたりしないの?」

「そんなことしないし、させません。恥かしいじゃないですか。そんなの変態ですよ」

「無理やり舐めてこないの?」

「きませんよ」

麻里子が話題を終わらせようと、きっぱりと言い切った。しかし鉄男は食い下がった。

「舐めさせろって、言わないの?」

「言わないし、言ってきても断固拒否。私が嫌だって言ったら絶対にしないもん」

「ふーん、随分大人しい奴だね」

「だいたい見せたことも触らせたこともないのに、舐めさせるなんてありえない」

「ははは」

「それなのに、鉄ちゃんには見られちゃったし、触られちゃったし、舐められちゃったよ。私、そういうの、初めてなんだからね」

麻里子が思い出したように口を尖らせて、悔しそうに言った。

「暗かったから、よく見えなかったよ」

「でも、触ったし、舐めたじゃないですか」

「それはそうだけどね。じゃあ、さっきは本気で嫌だったんだ。でも途中から感じてたんじゃないの?」

鉄男は麻里子の真意を読み取ろうと顔をのぞき込んだ。麻里子が恥ずかしそうに視線を外した。

「オレは変態かな?」

「変態ですよ、超変態。驚いたよ。あっという間に凄い力で抑えつけられて、驚いているうちにされちゃって。まったくひどいよ。でも…」

「でも?」

麻里子が意を決したように白状した。

「実は恥しいけど興味はあった。友達に、舐められると凄く気持ちがいいって言う子が多かったし…、ちょっと試してみたい気はあった」

「ほらみろ」

鉄男は勝ち誇った顔で微笑んだ。

「それで感想は?」

「ええと…舐められた瞬間にビンってして、体がガクガクして…、気絶しそうになった」

「そうだろ」

「でも漏らしたみたいに濡れすぎちゃって恥ずかしい。もう、鉄ちゃんだけだよ。あんなことさせるの」

「それはうれしいな。じゃあ、もう一回」

「やだぁ」

「本当に嫌かどうか、麻里子の体を調べてやるよ。パンツ汚れるから脱げば?」

「バカ。とっくに履いてないよ」

麻里子がクスっと笑った。鉄男は勢い良くタオルケットの中に潜り込み、麻里子の両方の太腿をひとつにまとめて抱きしめた。そしてその中心を覆っている草むらに口付けをした。

「ああん、だめぇ」

麻里子が払いのけようと、鉄男の頭を軽く押しやった。しかしその力は弱く、拒否する声も甘え声だった。鉄男は両膝の裏側に手を当てると、再び麻里子の両足をすくい上げた。太腿を割りそのはざ間を覗くと、あらわになった肉の唇の中はすでに潤っていて、暗闇の中でテカっていた。顔を近づけると、甘い香りが立ちのぼる。、ぴたりと口唇をあて、舌を使って中の襞を丁寧にかき分けてやると、麻里子が再び甲高い声を上げ始めた。

「あん。いや、…恥かしい」

「麻里子、凄く濡れているよ」

「鉄ちゃん…恥かしい。気が狂いそうだよ」

「大丈夫だから力を抜いて。もっと気持ちよくしてあげる」

鉄男は舌で突起をさぐりあてると、再び濡れた口唇で咥え、ゆっくりと吸い上げた。

「ああ、だめ、そこが……。やだ、また、おかしくなっちゃう」

麻里子が太腿をブルブルと震わせ、鉄男の顔を挟みあげてきた。麻里子のピチピチした太腿で顔を挟まれるのは格別の快感だった。その感触を楽しみながら、鉄男はクリを吸い続けた。

「いい、ああ、いい、あああ」

「もっと気持ちよくしてあげる」

「凄いよ。もうだめ…ああん、壊れちゃう」

体を弓なりにのばし、麻里子が軽々と絶頂に駆け上がっていった。鉄男はようやく舌先で剥き上げたクリから、口唇をはなした。麻里子が体から徐々に力を抜き、上り詰めた場所からゆっくりと降りてきた。大きなため息が漏れ、太腿に込められていた力が緩んだ。そのタイミングを逃さず、鉄男は再び麻里子の両足をすくい上げると、今度は自らをねじ込んだ。一気に貫いたあと、再び剥き上げたクリを根元でこするように腰を使う。麻里子が面白いように声をあげた。

「凄い、凄い。ああん、いい。あそこがじんじんして、凄くいいの」

「舐められるのと、どっちがいいの?」

「あん、いやん」

「言わないとやめちゃうよ」

「いや。やめないでぇ」

「じゃあ、言えよ。舐められるのと挿れられると、麻里子はどっちがいいの?」

「…もう、どっちもいい。どっちもいっぱいして」

そう白状した麻里子は本能のままに抱きつくと、自らの両足を鉄男の太腿に巻きつけてきた。それは鉄男をもっと奥へとさそっているかのようだった。

(舐められる喜びと、挿れられる喜びの両方を体にきっちりと刻み込んでやる)

鉄男は明け方まで、ねちっこく麻里子の体を貪り続けた。

結局、そのままラブホに泊まってしまった二人は、次の日の朝、チェックアウトすると近くのカフェで朝食を一緒に食べた。鉄男がモーニング・サービスを平らげていると、トイレから戻ってきた麻里子が声を潜めていった。

「ねえ、ワタシ目の下に隈が出てない?」

「ちょっと出てる。昨日やりすぎたからな。だって麻里子が凄くて、寝かしてくれないんだもん。隈くらい出るさ」

麻里子の顔を眺めて、鉄男がからかった。

「やだぁ。変なこと言わないで」

「冗談だよ。隈なんて出てないよ」

「よかった。もう鉄ちゃんが変なこと言うから、慌てちゃったよ」

「慌てて興奮してきた?」

「ええっ?」

「パンツ汚すから、脱いどけば?」

「もうっ、そのセリフ禁止!」

麻里子が口を尖らせて怒ったふりをした。

その後、他愛のない会話で盛り上がった二人は、何もなかったようにカフェの前で別れた。

ちょっと歩きかけた鉄男が立ち止まり振り返ると、雑踏の中を麻里子がお尻をぷりぷりさせて歩いて行くのが見えた。そして鉄男の視線を感じたのか、麻里子も突然振り返り、鉄男に向かって笑顔で手を降った。

(これで五万円は夢みたいだ)

鉄男も軽く手をあげそれに応えると、踵を返して駅に向かって歩み始めた。

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