5.うしろに指を入れられた日

肉の記憶 麻里子二四歳

その日の麻里子は、脛まですっぽりと覆うような、生成り色のフレアのロングスカートをはいていた。白いサマー・カーディガンの中は、襟ぐりがルーズに開いている黄色いTシャツで、その下にはいつものように白いタンクトップを着込んでいた。

「ブカブカのTシャツにタンクトップを合わせるのが麻里子の定番だね」

「うん。長年の研究の結果、それが胸を隠すのに一番なの」

「ふーん」

「あのね。こういう重ね着は胸のラインを隠すから、巨乳の子だけじゃなくて、極端に胸のない子もよくやってるよ。テレビに出てるタレントとかもそうだから、よく見てみてよ」

「みんな、そんなに気にしてるんだ。でも麻里子は貧乳じゃなくて巨乳だから、逆にもっと見せびらかしてやればいいのに」

「好きな人に見られるのは全然嫌じゃないよ。見せつけたいくらい。でも、知らない変な人がガン見してきたり、痴漢が寄ってくるのが嫌なの」

「なるほどね。で、上はいいけど、下は約束が違うじゃないか」

実は鉄男の粘り強い説得のかいがあって、麻里子は今日、ノーパンでデートすることを承諾したのだった。

「ええ、どうして?約束通り、履いてないよ」

麻里子がいたずらっぽく笑った。

「だってミニスカートじゃないじゃないか」

「スカートとは言われたけど、ミニとは言ってないでしょ」

「そうだっけ。なんか損した気分だな」

「いいから行こうよ」

麻里子に引っ張られて坂の上にある公園まで、二人はウインドウ・ショッピングをしながら散歩した。

その途中、鉄男は自分が大学時代に好きだったロックバンドのLPが、ショウ・ウインドウの中でデイスプレイに使われているのを見つけた。あまりの懐かしさでぼんやりと見ていると、先を歩いていた麻里子が声をかけてきた。

「なに見てるの?早くおいでよ」

声の方向に目をやると、逆光の中に麻里子の姿が浮かび上がった。フレアのスカートが透けて、足のシルエットが丸見えだった。

(ノーパンが丸見えだ)

さすがにノーパンが分かるようには透けてないのだが、この人ごみの中で麻里子のノーパンを知っているのが自分だけという事実に、鉄男は異様に興奮した。

不思議そうな顔で佇んでいる麻里子にその興奮を気付かれないように、鉄男は慌てて後を追いかけた。

午後の日差しの中、公園の芝生は気持ちがよく、家族連れやカップルが芝の上に思い思いに陣取っていた。鉄男は思い思いに寝そべっている人々の死角になるような大きな樹の下に、用意してきたビニールシートを手早く広げた。

「さすが鉄ちゃんは用意がいいね」

麻里子はニッコリして靴を脱ぐと、シートの上に上がりこんだ。そして生足を覆っているスカートの中で立膝になると、脛を抱えるようにして体育座りになった。鉄男はその横に寝そべった。

「気持ちがいい」

爽やかに吹いてくるそよ風の中で、麻里子が髪をかき上げた。鉄男はそんな様子を下から見上げながら、いたずらっぽい笑いを浮かべて聞いた。

「どう、感想は?」

「ええ?」

「ノーパンはスリルがあるだろ?」

「ふふふ、思った程でもないな。二度目だから少し慣れたのかも。開放感があって、涼しくて、意外と気持ちいい」

「スカートが長すぎだよ。ミニスカじゃないとスリルがないんだってば」

「まったく鉄ちゃんはエッチだなぁ。今度、気が向いたらミニにしてみるよ」

麻里子が呆れ顔でそう言った。

「ねぇ、膝枕してくれよ」

「いいよ」

麻里子が足を直して、横座りになった。その太腿の上に、鉄男は頭をのせた。柔らかい太腿に頭を乗せると、目の上に麻里子の大きな胸の膨らみが迫ってきた。その膨らみ越しに微笑む麻里子の顔が見え、笑顔の向こう側には青空が広がっていた。

「ああ、いい気持ちだ」

「そりゃそうだよ、私の膝枕だもん。世界一だよ」

麻里子が自慢げに言った。

「そんなことより、胸とか触ってこないでよ」

「やらないよ」

先手を打たれた鉄男は胸をいたずらする代わりに麻里子のお腹側に寝返りをうつと、柔らかい下腹部に顔を埋めた。鼻の中一杯に柔軟剤の爽やかな匂いが広がった。鉄男は麻里子の太腿の合わせ目に、思いっきり息を吹き込んだ。

「こら、鉄ちゃん。やだ、何してんの。だめだよ」

麻里子が慌てて、鉄男の頭をもとに押し戻そうとした。

「ちょっとだけ、五分だけでいいから」

鉄男は体を踏ん張って、下腹部の三角地帯に顔を押し付け続けた。

「もう、やだ。ホントにちょっとだけだからね。大人しくしてよ」

麻里子は両手を鉄男の頭に乗せると、優しく撫で始めた。鉄男はこれ幸いと、麻里子の太腿の合わせ目に向けて熱い息を吹き続けた。

しばらく続けていると、三角地帯が熱を帯びてくいるのが分かった。そして木綿のスカートの薄い布地を通して、麻里子の甘酸っぱい匂いがうっすらと漂ってきた。鉄男はその匂いをかぎながら、まるでそこにキスをするかのように口をすぼめて更に強く息を吹き続けた。麻里子はしばらくそれに耐えていたが、ついに堪らなくなったのか、いきなり鉄男のもみあげを掴んだ。

「いてて」

鉄男が頭をもとに戻すと、上気してベソをかきそうな麻里子の顔が覗きこんできた。

「もう、やだよ。なんか変になってきちゃったじゃない」

「濡れてきた?」

鉄男がうれしそうに聞くと、麻里子がコクリと頷いた。

「いっぱい」

「まだ、ちょっとだけど…このまま続いたら凄くなりそう」

「分かった。行こう」

鉄男は素早く立ち上がった。

ホテルの部屋に入るやいなや、鉄男はベッドに仰向けになった。

「ねぇ、麻里子。服を着たまましようよ」

そういうと、鉄男はズボンのベルトを外し、下半身を一気にむき出しにした。

「やだ、もう」

そう言いながらも麻里子はスカートの裾をたくし上げ、いそいそとベッドに上がり込んできた。そして、鉄男の上に馬乗りになると、すでに力が漲ってコチコチになっているそれに手を添え、ゆっくりと腰をおとした。スカートの中で麻里子の肉襞が割れ、十分に濡れている秘裂が鉄男をヌルリと咥え込んだ。

「ああん」

麻里子が眉間にシワを寄せて、声をあげた。

麻里子が言った以上にそこはベッタリと濡れており、根本まで呑み込むと、鉄男の下腹にピタリと吸い付いた。

麻里子の暖かさに包まれながら、鉄男はゆっくりと腰を突き上げた。

「やん」

麻里子がバランスをとろうと鉄男の胸板に両手をついた。鉄男は支えるように麻里子の両肩に手を添えて、やさしく動き続けた。

「洋服を着たまま繋がっている。オレたち凄くエロいね」

「ふふ、そうだね」

麻里子が頷いた。

「これなら外でしてもバレないね」

「私はいいけど、鉄ちゃんは下半身が丸見えだ」

「その時はズボンを降ろさないよ。ファスナーから出すだけだ。でも麻里子が凄く濡れるから、ズボンがベトベトになっちゃうな」

「バカ」

麻里子が恥ずかしそうに笑った。

鉄男は肩に置いた両手をゆっくりと下へずらしていった。指先で鎖骨をさすり、そこから服の上を、ゆっくりと乳房の稜線をなぞっていく。そしてその頂点で、両方の乳首をぐいっと摘んだ。服の上からでも、すでに乳首が固くしこっているのがわかった。

「オッパイが尖ってきてる」

「鉄ちゃんが触るからでしょ」

さらに指先に力を込めて乳首をひねりあげると、麻里子が顔を歪めた。

「痛い?」

「大丈夫」

「麻里子のオッパイは憎たらしいな。いくら触っても触りあきないよ。無視してやろうと思うけど、すぐに触りたくなるんだ。食べている時も、飲んでいる時も、歩いている時も、突然、ぐいって握って、めちゃくちゃに揉んでやりたくなる。それを我慢する気持ちって分かるか?」

「鉄ちゃんは正直だね。でもそう言ってくれて嬉しいよ。もっと強く、いっぱい握っていいよ」

鉄男は掌いっぱいに握ると、ぐいっとひねりあげた。

「あん」

麻里子が目を閉じて、顔をしかめた。

「少し痛いのが好きなんだろ」

「うん」

鉄男はさらに力を込めた。

「ああん、そんなに強くしたらとれちゃうよ」

眉間にシワを寄せた麻里子が痛みにうめいた。

「脱いで見せてくれよ」

鉄男は胸から手を離すと、麻里子のウエストを支えながら、ゆっくりと腰を動かし続けた。麻里子が揺れる腰の上でバランスを取りながら、カーディガンを脱いだ。

Tシャツを脱ぐと、その下には薄い布地のタンクトップが、体に張り付いていた。くびれたウエストとアンバランスなほど大きな、乳房の丸みが現れた。肩もとを覗くと、ブラの透明なストラップが食い込んでいるのが見えた。

「そのままブラだけ外せよ」

そう命令すると麻里子が背中に手を回した。ブラのホックを外し、胸を開放すると、麻里子はストラップをずらして、両方の腕を器用に抜いていった。そしてタンクトップの胸元から白いブラを引き抜き、ベッドの上に投げ捨てた。

タンクトップを着たまま、ノーブラになった麻里子はたまらなくエロかった。薄い布越しに乳房の形があらわになり、その布越しに揉み込む感触は格別のものだった。

「乳首の場所が、ポチっと分かってかわいいね」

両手で好きなようにイジりながら鉄男が言った。

「もう、やだぁ」

麻里子がはにかんだ。

「いっぱい触ってるから、前に比べて乳首が少し大きくなったかな?」

「ウソ?」

「ウソだよ。でもいつ触っても麻里子のオッパイがさわり心地がいいよ」

ゆっくりと腰を使いながら、鉄男は乳房を揉み続けた。

「ああ、中が暖かくて、いい気持ちだ。まるで麻里子に握られているみたいだ」

「私も握っている感じがしてる」

麻里子が腰の動きを合わせながら言った。

「このまま、ずっとこうしていたいな。ものすごく出したいけど、それがもったいない」

「ずっとこうしてようよ」

「麻里子はそれでいいの?」

「いいの。いま、もの凄くいいの。どんどんよくなってきてて、怖いくらい」

麻里子が湧き上がる快感に身を委ねるかのように、目を細めた。

お互いがエクスタシーの生殺しだった。しかし根競べとなると、女の性にはかなわなかった。下からゆっくりと突き上げられながら、乳房を痛いほど揉み上げられ、沸き上がってくる快感に身を委ね続ける麻里子は、いつの間にか静かで長く尾を引く絶頂へと押し上げられていく。その証拠に鉄男の下腹から太腿のあたりは、麻里子のお漏らしでべったりと濡れていた。次々に沸き上がってくる快感に、麻里子はとめどなく濡らし続けているのだ。

一方の鉄男は、ちょっとでも油断すると一瞬の快感を求めて駆け上がるために激しく腰を使いたくなって、それを抑えるので必死だった。

「濡れすぎだぞ、麻里子。お漏らししたみたいだ」

鉄男は麻里子が恥ずかしがるようなセリフをわざと言った。

「ごめん。私、壊れちゃったみたい。公園で膝枕した時からずっと濡れてる。…恥ずかしいけど、もうとまらない」

麻里子がさらに快感を求めるように、ゆっくりと腰を回し始めた。

「いい、凄くいい。もうマリ…、死にそう」

麻里子が徐々に腰の動きを早めてきた。

「ああ、麻里子。…降参だ。我慢出来ない」

鉄男は麻里子を体の上に載せたまま、両腕をかくようにしてベッドの際に向かって体をずらしていった。そしてベッドから足を落とすと、上半身を起こし、麻里子と胸を合わせて抱き合った。

ベッド端に腰掛けた鉄男の上に、麻里子が大股を広げて座り込んでいる恰好になった。

「ああん、この恰好好き。ぴったりくっついてて、凄く気持ちがいい」

麻里子が鉄男の首に腕を巻きつけてきた。そして口唇をよせると、舌を入れてきた。

鉄男がその舌を受け入れ、思いっきり吸ってやる。

「ううう」

麻里子がくぐもった声をあげた。

鉄男がスカートをたぐって、麻里子のお尻をむき出しにした。

「こうやると凄くエロいな」

ベッドから一メートルほど離れた壁には、鏡が嵌めこまれている。その鏡のなかに、麻里子の裸のお尻が丸見えになっていた。

真っ白なお尻の割れ目に、紫がかったピンク色のアヌスが濡れて光っている。その下には鉄男を加えている麻里子の秘裂がむき出しになっていた。鉄男が動くたびにそこが複雑によじれ、透明な涎が溢れ出て、鉄男の太腿をベトベトに濡らし続けていた。

「ううん…なにが?」

振り返って鏡を見た麻里子が叫んだ。

「いやだぁ、丸見えじゃない」

麻里子が慌ててスカートを戻そうともがいた。しかしスカートを丸めてがっちりと押さえ込んでいる鉄男の腕力にはかなわなかった。

むき出しで咥え込んでいる麻里子のお尻を見ながら、鉄男はベッドの反動を利用してもっと激しく腰を使った。落ちそうになった麻里子が、慌てて両腕を首に回し鉄男にすがりついてきた。

「ひどいよ。アソコが丸見えじゃない。…恥ずかしすぎるよ」

鉄男に抱きつきながら、麻里子は恥ずかしさのあまり泣きそうになっていた。

「恥ずかしかったら目をつぶってごらん」

そう言われて麻里子は固く目をつぶった。

「あああん、ああん、ああん」

鉄男の動きに合わせて、麻里子が喜びの声を上げた。

鉄男は右手を麻里子のお尻にまわすと、二人が繋がっている部分を指先でさぐった。濡れそぼった秘裂が鉄男のものをきっちりと咥え込んでいる。そのキワを指でいじると、秘裂から滴り落ちてくる涎で、すぐに指先がねっとりと湿った。そうやって十分に湿らせた中指を、麻里子のアヌスに押し当てた。

「あああん、いやん」

麻里子が声を上げるのと同時に、鉄男が指先に力を入れた。麻里子のアヌスが何の抵抗もなく、スルッと指を呑み込んだ。

「鉄ちゃん、やだ。そこはいやだってば」

いきなりアヌスをほじられた麻里子はうろたえて、泣きそうな声を張り上げて抵抗してきた。鉄男はそれを無視して指を奥へとめり込ませていった。力を入れるまでもなく、中指は第一関節までスルリと埋まった。

鉄男は小さく中をかき回すように、指先を動かし、その動きに合わせて腰を突き上げた。

「あああん、ひどい。壊れちゃう。ああん、あん、ああん」

抵抗を諦めた麻里子がよがり声をあげてきた。

小刻みに動かし続けるうちに、鉄男の中指は第二関節の近くまで埋まっていった。鉄男は薄い壁をへだてて動いている自分を擦るように、埋まった指で中を探った。

「それだめ。ああああ、もう、だめぇ」

麻里子が絶叫すると、鉄男を締め上げるように抱きついてきた。鉄男の太腿は麻里子の肉襞がたらす涎でベトベトに濡れ、それはベッドの上にこぼれて大きなシミを作った。鉄男は指先がさらに埋まるように小刻みに回転させた。

そして獣のような声を上げて喘ぎ続ける麻里子の中に、思い切り精汁を放出した。

凄まじい興奮の余韻で、まだすすり泣いている麻里子が、涙声で言った。

「ねぇ、お願いだから指を抜いて」

鉄男は第二関節まで埋まり込んでいる中指をゆっくりと外した。まるで抜かれるのを惜しむかのように麻里子のアヌスがまとわりついてきた。

「痛かった?」

麻里子が首を振った。

「気持よかった?」

「いやだ。そんなの絶対に言わない。…恥ずかしすぎて言えないよ」

「指は初めて?」

麻里子がコックリと頷いた。

「知ってるでしょ。そんな事をする人は、鉄ちゃん以外にいないじゃない。知ってて聞くなんてひどいよ」

麻里子が拗ねた口調で応えた。

「また麻里子が初めてをくれたね。オレは嬉しいよ」

「私は怖い」

「何が?」

「…もう訳がわからない。凄いことされすぎて、それをどんどん受け入れられる自分が怖い」

「麻里子はどんどんいいオンナになっているんだよ」

「そうだといいけど…このままだと鉄ちゃんに、取り返しのつかない、いやらしい体にされるかもしれない」

そう言って麻里子がキスをせがんできた。それを受け入れると、鉄男は思い切り舌を吸い上げた。

またひとつ麻里子を征服したことで、鉄男は頭の後ろが痺れるような快感を覚えた。

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