6.肉人形

からめとられた百合花

百合花が剛田にあてがわれているマンションの寝室、明かりが煌々とともる室内では、剛田が百合花を相手に、いつ終わることもない痴態を演じていた。
ベッドのヘッドボードに寄りかかっている百合花の目の前に、剛田のポマードで固めたオールバックの頭がある。頭頂部の禿を隠そうと、前髪が撫でつけられているのだが、至近距離からは、薄気味悪く禿げあがった白い頭皮が丸見えだった。禿をのぞかれていることとは露知らず、剛田は素っ裸に剥かれて股を大きく開いている百合花の上に覆いかぶさり、もう1時間以上も夢中になってアソコを舐めまわしていた。
それはいつも儀式のように執拗なキスから始まり、耳、首筋、鎖骨、そして乳房へと丹念に舌を這わせていくのだった。やがて股間に辿りついた剛田の舌先は、ぴちゃぴちゃと音を立てて、一番敏感なそこをしゃぶり始める。百合花が音を上げ、恥ずかし気によがり声を絞り出すまで、剛田はソコを執拗に舐め続けるのだった。同時に両手を胸の膨らみに伸ばし、ぷりぷりの乳房をやわやわと揉みあげている。時折、乳首をつまんで指先で潰すようにこりこりと愛撫すると、百合花はたまらず嬌声を上げるのだった。
(お願い、もうやめて…許してください)
まるで性感帯を逆なでするかのように弄り回されて、百合花は恥ずかしさで気が狂いそうになっていた。その挙句、自分の意志とは裏腹に何度も絶頂に追い上げられて、百合花の心は完全に挫けてしまうのだった。こうして百合花は羞恥心を無理やりもぎ取られて、剛田のいいようによがり声をあげる専属の売春婦へと堕とされていくのだった。

剛田と無理やり結婚させられ、一緒に暮らすようになってからひと月。百合花の毎日は、剛田と一緒に運転手付きのベンツに乗って、オフィスに同伴通勤することから始まるのだった。剛田が経営する会社のオフィスの社長室には、大きな机の前にソファが置かれていて、剛田の執務中、百合花はそこで大人しく座っていなければならなかった。昼時になると、別室に控える剛田の秘書が高級弁当を運んでくる。秘書はソファの前のガラステーブルに、塗りの箱に入った弁当を二つ置き、お茶をいれるとそそくさと退出するように命じられていた。秘書が無言で出て行ったあと、剛田は部屋に鍵をかけると、ソファに座っている百合花の隣に陣取るのだった。
「やぁん」
恥ずかしさに顔をしかめる百合花を無理やり抱え上げると、剛田は百合花を膝の上にのせる。そこからが二人だけの昼食の始まりだ。それは百合花にとっておぞましい時間だった。
まず百合花は弁当のおかずを箸でつまむと、自分の口へと運ばなければならない。そして口の中でおかずを咀嚼する。すると頃合いを見計らって、剛田が唇を重ねてくるのだ。百合花はその求めに応じて、口の中のかみ砕いたものを、口移しで剛田に食べさせなければならなないのだった。そうやって剛田は自分では箸を使わずに、百合花の口移しで昼食をとるのだ。この習慣は朝、昼、晩、外食以外の全ての食事で同じように行われるのだった。
「お前の口から食べるご飯が一番おいしい。もっとよく噛んで、唾でくちゃくちゃにしてから食べさせておくれ」
剛田がうれしそうに命令する。その命令に少しでも逆らうと、とんでもないお仕置きが待っていた。例えば百合花がちょっとでもイヤそうな素振りを見せると、剛田は敏感にそれを感じ取る。
「まだわからないのか。こうやるんだよ」
そう言うと剛田は、自ら箸で弁当をつまむ。そしてくちゃくちゃとかみ砕いた後、どろどろになったそれを、無理やり口移しで百合花に食べさせるのだった。百合花は涙目になりながら、それを飲み込むという拷問に耐えなければならなかった。
同じようなことが、水を飲むときにも行われた。
「おい、喉が渇いた」
机の前で執務中の剛田がそう命じると、百合花はソファから剛田のもとへ移動して、ペットボトルの水を口の中へ含み、その水を口移しで飲ませなければならないのだ。
「お前の口は本当に、甘くておいしいな」
剛田は水を飲み終えた後、必ず百合花にキスをせがんでくる。もちろん逆らうことは許されなかった。こうして剛田は飽きるまで百合花の唇や舌を、音を立てて吸い上げるのだった。

経営者として成功している剛田は、もともと株と不動産で財をなしてきた男だった。倒産、破産といった危ない橋を幾度も渡るうちに、非合法の世界にも知り合いが出来、いつしか顔が利くようになっていた。素人からは詐欺すれすれで金を搾り取る一方、その筋の大物たちには必ず利益をもたらすというやり方で、剛田は今の地位を築いてきたのだった。
こうして懸命に働くうちに、気が付けば剛田は独身のまま還暦を過ぎてしまっていた。ただ生まれ持って性欲の強い剛田は、妻を娶って、一人の女に愛情を注いでいくことに興味が持てなかった。そこで金にあかして、水商売の女たちを欲望の赴くままにいたぶってきたのだった。しかし、そんな身勝手な剛田の相手になるような、金次第でどんな要求でも呑むような女は、水商売の世界といえども簡単に見つかるものではない。稀にいたとしても、所詮、性根が卑しく、目的は露骨に金であり、剛田に安らぎを与えるものではなかった。
そんなところに手の中に堕ちてきたのが百合花だった。輝くピチピチの若さ、美しさと清純さ。そしてそれとは真逆のボリュームのある女の体を持っている百合花に、剛田は虜となった。百合花を手に入れてからは、剛田は狂ったように百合花を求め続け、それはまさに24時間、休まることがなかった。
例えば抜けるように白い肌で、まるで大きなグレープフルーツを二つに割って張り付けたような完璧な半球形の乳房は、揉み込む手をぷりぷりと跳ね返して来る。それはいつまで揉んでも揉み飽きないものだった。黒目がちの大きな瞳と鼻筋のとおった小ぶりな鼻、そしてたまらない色気を発する肉厚の唇はうっとりするほど柔らかく、剛田はその唇に吸い付いて、生温かい百合花の口の中に、舌を差し入れるのが大好きだった。そうされると百合花は目を閉じ眉間にしわを寄せて、いやいやながら舌を吸い上げる。その百合花の悲しげな表情が、剛田の征服欲を満たすのだった。そして生暖かい口の中で、舌を吸われる悦びに、体が痺れるほどの快感が走るのだ。
百合花を追い上げるためには、乳首は外せないスポットだった。乳輪ごと口の中に吸い込むと、舌先でやさしく転がしてやる。最初は無表情を装う百合花だったが、しばらくすると、我慢できなくなって、ひぃひぃと悦びの声を上げ始めるのだ。飽きるほど乳房を揉まれ、しゃぶり尽くされヒリヒリするまで乳首を吸われることで、百合花は自分が女であることを思い知らされるのであった。
こうしてたっぷりとしゃぶり尽くして追い詰めた後、剛田は舌先を乳房から下へと移していく。可愛いお臍に自らの唾をたらし、舌先でしつこくほじってやると、百合花は身をよじって逃げようと反応する。剛田の舌先をかわそうと動く百合花を押さえつけて、お臍とその下のすべすべした下腹を無理やり舐めるのも、剛田の大きな楽しみのひとつだった。
最後に恥毛にいろどられた女の膨らみに舌先がおりてくる。その先にはピンク色にひかる百合花の女のアソコが待ち受けているのだった。そこにたどり着くまでの剛田のしつこい愛撫によって、百合花は内腿までべっとりと濡らしているのだ。
「百合花はスケベな娘だなぁ」
「そ、そんなことありません」
「でもいつも恥ずかしいといいながら、内腿までべとべとに濡らしているじゃないか。なんでこんなに濡らしてるんだ。恥ずかしくないのか?」
そう問い詰められて返す言葉がない百合花は、両手で顔を隠しながら、いやいやをするのが精一杯だった。こうして百合花は好きなだけ言葉でいたぶられて、恥ずかしさと快感でがんじがらめになってしまうのだ。
「さあ、欲しくてたまらなくなってきただろ」
「…」
「ほら早くいってごらん」
「…いれて」
「聞こえないよ。ちゃんと言ってみろ」
「ああ、もう、お願いです。…はやく、いれてください。アレを百合花にください」
剛田の攻めに完全に降伏した百合花の声を聞きながら、剛田ははちきれそうに興奮した肉棒を百合花の中に沈めるのだった。

行為が終わった後、ベッドのヘッドによりかかり、大股開きになった剛田の股の間に、百合花は正座せられていた。ヌルヌルになっている剛田のそれを口に咥え、綺麗になるまでしゃぶるのも百合花の大事な勤めなのだ。
「もっと心を込めて、スケベな音を立ててしゃぶるんだ」
剛田の命令に、百合花はじゅるじゅると音を立てながらしゃぶり続けた。
「もっと舌をつかってごらん」
口の中で、舌でからめるようにして、百合花は一生懸命しゃぶり続ける。百合花にしゃぶらせているうちに、剛田はまた力が漲ってくるのを感じていた。自分でも歯止めの利かない性欲が湧き上がってくるのだ。そしてさらにある欲望が燃え上がってくるのだった。
(百合花のお腹にわしの種を植え付けたい。この女の体の中に、自分を刻み込みたい)
めらめらと広がる欲望に、剛田は歯止めがかけられなくなっていた。剛田は体を起こすと、百合花を四つん這いにさせるのだった。
「ほらもっと尻を突き出して。犯してくださいとお願いするんだ」
尻をぴしゃりとぶたれた百合花は、大人しく尻を高く突き出した。そして消え入りそうな声をあげた。
「…おかしてください」
「聞こえないぞ」
「百合花を犯して、めちゃめちゃにしてください」
「よしよく言った。俺の種をどっぷり植え付けてやるから、俺の子を孕むんだぞ」
剛田はそう叫びながら、百合花の尻をつかむと、背後から狂ったように犯し始めた。
四つん這いになったことで、百合花の大きな乳房が三角錐の形に変形した。剛田の突き上げに体が揺れる度に、先端の乳首がシーツに触れてこすれた。
(ああ、いやだ。へんになっちゃう)
百合花の体に思いがけない快感が走った。それを剛田に知らせるかのように、百合花のアソコが剛田をぎゅっと締め上げた。
「ああ、締まる。もうたまらん。いっぱい出してやる」
剛田の叫びに百合花はおののいた。
(いやだ。また中に出される。もういや、やめて…)
無理やり四つん這いの恰好にされ、体の中に体液を注がれる屈辱と嫌悪感に堪えながら、百合花は細かく痙攣して、剛田をさらに締め上げるのだった。

毎日、蹂躙の限りを尽くされて、百合花は剛田に組み敷かれて精根尽き果てる。こうして諦めの境地に追い込まれていった百合花は、いつしか心から剛田を受け入れるようになり、自ら官能の嵐に溺れるように躾けられていった。
そして百合花は、ついにお腹に剛田の子供を身ごもった。
(とうとう孕まされた。取り返しのつかない体にされてしまった。この先、この人に、私は何人の子供を産まされるんだろうか…)
逃げ場を失った肉人形のような百合花の前には、救いのない地獄が広がっていた。(終)

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