2.絶対の服従

隷属の沙希子

繁華街の裏手にあるホテル・クオークは、値段のわりにはスタイリッシュな部屋を備えていて、若者に人気のラブホテルだった。特に週末の午後八時を過ぎると部屋待ちのカップルで列が出来るほどの盛況を呈する。いまどきのカップルは、ラブホテルに臆面もなく列を作り、いちゃつきだす者まで現れる始末だ。
今日は木曜日の夕方六時過ぎなので、そんな大胆なカップルに出くわすこともなく、二人は部屋を選ぶパネルの前に辿り着いた。
「昨日より断然デラックスだろ。好きな部屋を選べよ」
タモツの問いかけに答えずに、沙希子は下を向いてべそをかいていた。
「早く選ばないと、ここで裸にするぞ」
タモツは再び沙希子の乳房を締め上げた。
「…海の部屋にして下さい」
「おお、プールがある部屋か。泳ぎながらヤリたいのか。沙希子は本当にスケベだな」
タモツはわざと廊下に響くような大きな声で沙希子をからかい、部屋の鍵をとると沙希子をエレベーターの中へ引きずり込んでいった。
部屋の中は眩しいほどの明るい照明で、壁も床もスカイブルーで統一されていた。巨大なダブルベッドの脇には、透明なプラスチックで囲まれた小さなプールがしつらえてあった。
部屋の扉が閉まると同時に、タモツは沙希子を壁に抑えつけ、両手を奪うと万歳のように頭の上に伸ばしあげた。抱えていたバッグが床に落ちるのをものともせず、タモツは右手で沙希子の両手首をまとめてつかみ、壁に押し付けた。そして空いた左手で、しくしく泣いている沙希子の顎を押し上げた。
「沙希子、お前はオレの何だ?」
「…愛人です」
「愛人の仕事はなんだ?」
「…」
押し黙った沙希子の顎を、タモツが力任せに締めあげた。
「愛人の仕事は愛し合うことだろ」
「そ、そうです」
「じゃあ、男と女が愛し合うってどういうことだ?」
タモツの執拗な言葉責めに、沙希子がとうとう根をあげた。
「…セックスをすることです」
「そうだ。分かっているじゃないか。じゃあ、早くセックスしてって、言ってみろ」
「許して下さい。そんなこと言えません」
「じゃあ、早くチューして下さいって、言え。それなら言えるだろ?」
「…早く、キスして下さい」
「よし、キスしてやる。でも昨日教えた通り上手にやらないと、すっ裸に剝いて廊下に出すからな」
そう脅しあげると、タモツは有無を言わさず沙希子の唇に吸いついていった。
まず、ふっくらとした下唇を吸い上げ、舌でその感触を確かめながら、タモツは沙希子の唇全体を味わっていく。下唇から上唇へ、タモツは沙希子の顔が歪むほど唇を吸い上げ、蜜のように湧き出てくる沙希子の唾液をごくごくと飲み干した。
(いや、やめて。気持ちが悪い)
蛭のような唇が這いまわる嫌悪感に吐きそうになりながら、沙希子は目をきつく閉じた。
沙希子の唇を執拗に吸い上げたタモツは、沙希子の口の中にヌルリと舌を差し入れた。歯茎をひとしきり舐めまわし、遠慮がちに開いた歯の間を強引にこじあけて舌を進めると、沙希子の舌がおずおずとタモツの舌に触れてきた。タモツはその舌を追いかけるように思い切り舌を差し入れた。
沙希子は目をつぶったまま口をすぼめ、タモツの舌を受け入れた。そして上顎と舌でタモツの舌を柔らかく包み込むと、込み上げてくる吐き気に顔を歪めながら、音を立てて吸い始めるのだった。
(だいぶ上手になったな)
沙希子に存分に舌を吸わせたタモツは、痺れるような感覚に酔いしれながら、ゆっくりと舌を引き抜いた。沙希子がその後を追いかけるように、恐る恐るタモツの口の中に舌を差し入れてきた。タモツはトロリと甘い沙希子の舌をからめとり、思い切り吸い上げた。
「ううう…」
思わず口をずらして逃れようとしたが、タモツは顔を強く押し付けて、その動きを封じ込めた。
両腕と舌を囚われた沙希子は、全く身動きができなくなってしまった。
完全に沙希子を捕まえたタモツはあいている左手でジャケットのボタンを外すと、ブラウスの裾をスカートから引き抜いた。そしてゆっくりとブラウスのボタンを外していった。沙希子の甘い匂いが立ち昇って来た。
「両手を背中の後ろで組むんだ。昨日いいつけた通りの恰好で来たか身体検査する」
沙希子は大人しく、言われた通りに両腕を背中に回した。
「まずはブラから見せてもらおうか」
タモツがブラウスを左右に大きくくつろげた。
恥ずかしさのあまり顔から首筋まで肌を染める桜色が、鎖骨の辺りで薄く立ち消えていた。その下に広がる陶器のような白い肌に、沙希子は白いブラジャーをつけていた。それは昨日タモツが与えたものだった。
普通のブラとは違い乳房を覆うカップが薄いナイロン素材で出来ている。大きな乳房の半分近くがカップからはみ出し、鎖骨を押し上げるように盛り上がっていた。左の乳房はここへくるまでにタモツが存分に揉み上げたせいで、ところどころに指跡が赤くついていた。
カップの布地を通して、淡いピンク色の乳輪があからさまに見えた。ツブツブが泡立つ直径二センチほどの乳輪の中心に、赤ん坊の小指ほどの乳頭が可愛らしくおさまっている。それはすでにぷっくりとしこっており、抑えつけている布地を跳ね返して飛び出そうと身構えているかのようだった。
明るい蛍光灯の下で、女の秘密の部分をあからさまに見られる。沙希子は死ぬほど恥ずかしかった。しかし両手で胸を蔽い隠したいという沙希子の気持ちとは裏腹に、まるまるとした乳房は荒くなる呼吸にあわせて波打ち、ますますその大きさを目立たせていくのだった。
「ちょっとブラのサイズが小さかったな。沙希子は小学生みたいな顔をしているくせに、オッパイが大きいからなぁ。」
「変なこと言わないで下さい」
「だってそうじゃないか。お前みたいなガキ顔の女が、まさかこんなにオッパイが大きいなんて誰も思わないぞ」
「…」
「女は脱がしてみないとわかんないなぁ」
タモツは沙希子をからかうと、左の乳房に唇をよせた。そして布地の上から乳輪を吸い上げ、乳首を舌先で丹念にころがし始めた。
(ああ、だめ。やめて)
沙希子は思わず声を上げそうになったが、下唇を噛んで懸命にそれを押し殺した。
乳房が感じやすく、とりわけ左の乳首が弱点であることを、沙希子は昨晩タモツにいやというほど思い知らされていた。左の乳首を舐められると、身体全体に痺れたような感覚がひろがり、やがて腰がジンジンとしてくるのだ。それを知り尽くしているタモツは乳輪を強めに吸い上げながら、口の中に含んだ乳頭を丹念にころがし続けた。
自分の意志とは関係なく膝ががくがくと震え始め、沙希子は立っているのが精いっぱいになってきた。沙希子は無意識のうちに足をクロスさせると、スカートの中で股間の膨らみを太腿に挟み、ぎゅっと絞った。するとその奥に、じんわりと快感が広がってきた。どんどん荒くなっていく息遣いの中に、こらえきれない恥ずかしい声が混ざるのは時間の問題だった。
タモツが大きくしこってきた乳首に軽く歯を当て、布地ごとゆっくりと咥え上げた。乳首が伸びきり、タモツの歯の間を滑って、プルンと元に収まった。
「あっ、あん」
乳首が解放された衝撃に、沙希子はついに恥ずかしい声を上げてしまった。
ニヤリと笑ったタモツは両手で沙希子の頬を挟み込み、滑るように髪をかきわけて耳たぶを探りあてた。柔らかい耳たぶの感触を味わってから、両手を首筋に沿って肩まで滑らせていく。沙希子は目をきつく閉じて身体を固くした。
タモツの指先がブラからはみ出している乳房の膨らみをそっと撫で始めた。張りつめた膨らみの上を十本の指先が掃くように、何度も何度も撫で上げていく。くすぐったい感覚の中に、じんわりとした気持ちよさが広がった。沙希子は自分の乳房が重くなっていくのを感じた。
やがてタモツはブラのカップのふちに指をかけると、布地が伸びきるまで引っ張り上げた。そのまま乳房をまたぐように左右に開くと、伸ばしきった布地の下にまるまると実った乳房が露わになった。ぷっくりと膨れ上がった乳輪の中心に愛らしい乳首が解放され、ツンと上を向いて勃ち上がった。透きとおるような白い肌のところどころには、静脈が初々しく透けて見えている。張り詰めた乳房の所々には、昨日タモツがつけた噛み跡が薄らと残っていた。
突然、タモツが両指に引っかけたカップをパチンと外した。
「あん」
沙希子は驚きの声を上げた。
ゴムのようにはじけたブラの布地が両の乳房の外側に収まった。布地の弾力が乳房を両脇から押し上げ、その丸みを一段と際立たせた。布地の勢いに弾かれた乳房はプルンと震え、乳首がやや内むきに寄せられた。それはまるでお互いをのぞき見るために小首をかしげたかのように愛らしかった。
「よし、オッパイが丸出しになったから、今度はパンティの検査だ。スカートを上げて、中を見せろ」
タモツの容赦ない命令に、沙希子は背中に組んでいた両手をゆっくりと解いた。
タモツの唾液でたっぷりと濡れている左の乳首が、外の空気にじかに触れスースーしている。沙希子は乳首をぬぐいたくてモジモジしたが、それは許されなかった。震える両手でスカートの両裾をつかむと、沙希子はゆっくりと持ち上げて行った。
「よく見えるように、オッパイの下まで捲りあげるんだ」
捲り上がる途中でスカートが折れ曲がり、その裏地を見せた。そこから舞台の幕があがるように、スカートがするすると滑り上がっていった。
沙希子の細くまっすぐな脛と小さな膝小僧は、顔立ち同様幼さを感じさせるものだった。ところがスカートの下に隠れるあたりから太腿がむっちりと張り出し、それははちきれそうな腰のカーブへと続いているのだった。
黒いストッキングが膝上三〇センチあたりまで、そのむっちりとした太腿を包みこんでいた。しかもストッキングはそこで終わり、タモツが昨晩与えた白いガーターベルトで吊り下げられているのだった。ウエストに巻きついたガーターベルトから伸びたストラップは、パンティの下を通り、ストッキングに留められていた。
股上が極端に浅いビキニのパンティは、ブラとおそろいの薄いナイロン地だった。これも、もちろんタモツが与えたものだ。股布が小さな白いシルク地でしつらえてあるだけで、それ以外は全て透けていた。柔らかい下腹にぴったりと貼りついたパンティのウエストラインのギリギリまで、かすみ草のような恥毛が萌えているのがくっきりと見えた。
「履く順番も言いつけた通りになってるな」
パンティの脇をつまみあげ、パチンと弾き戻す。タモツはそんな悪戯を繰り返しながら、沙希子の顔をしげしげとのぞきこんだ。
「こうやって履けば、おしっこする時も便利だろ」
「お願いですから…いじめないで下さい」
トイレでの秘密のしぐさを言い当てられた恥ずかしさで、沙希子はまた大粒の涙を流した。
「どれ、じっくりと見てやろうか」
タモツは沙希子の前に跪くと、沙希子の股間に顔を近づけて行った。
沙希子は恥骨の上に、柔らかい肉がたっぷりついている女だった。そのために股間の三角形が、普通の女の子よりぷっくり膨らんでいる。それは沙希子自身がとても気にしていることであり、誰にも知られたくない秘密だった。
生地の薄い小さなパンティを履かされたことで、その恥ずかしい膨らみがいっそう際立っている。タモツは右手で下からあてがうように膨らみ全体を覆うと、パンティの上からゆっくりと握りしめていった。
「この柔らかいところはなんていう名前だっけ?」
「…」
「昨日、名前をつけてやっただろ?忘れた振りしたってダメだ。さっき歩きながら自分でも言ってたじゃないか」
恥ずかしさで真っ赤になった沙希子がたどたどしく答えた。
「オマンジュウです」
「そうだ。覚えてるじゃないか。沙希子のオマンジュウは、身体の中で一番柔らかい場所だ。オレはお前のオマンジュウが大好きだよ。いじられると気持ちがいいだろ?」
「いやです。恥かしいから、やめてください」
涙声で答える沙希子を無視して、タモツは膨らみを握っては離し、握っては離しと揉みこんでいった。握りしめるたびに、とろけるような柔らかい肉の奥に、沙希子の恥骨が感じられた。さらに動作を繰り返すうちに、タモツの中指が伸びて、自然と沙希子の割れ目に食い込んでいった。指をさらに深く伸ばしていくと、そこはすでに湿り気を帯びていた。
「なんだ、もうお漏らししているじゃないか。あんまり気持ちが良すぎて、おしっこが漏れちゃったか?」
「違います。漏らしてなんかいません」
「じゃあ、なんで湿っているのかな?」
「知りません。もうやめて下さい」
「また、逆らうのか。ちゃんと認めるまでやめないからな。どうして湿っているのか、ちゃんと説明してみろ」
「言えません。そんなこと言えません」
「気取るなよ。いじられて、気持ちがよくなってきたんだろ。それでオマンジュウの奥が濡れてきたんだろ。そう言うまで、許さないからな」
タモツの執拗な言葉責めに、沙希子がついに降参した。
「…いじられて、気持ちがいいので…オマンジュウの奥が濡れているんです」
「そうだと思った。最初から素直にそう言えよ」
タモツがようやく手を離すと、股にあてられている白いシルクが食い込んで、女の子の割れ目をくっきりと描いた。
「どれ、オマンジュウの奥を見てやる。もっと足を開け」
「見ないで下さい。おねがい」
沙希子は太腿に力をいれると、足をぴったりと閉じた。
(もし無理やり足を開かれたら、股布に大きな染みがついていることを知られてしまう)
沙希子はタモツの手を入れせまいと、太腿がぶるぶる震えるほど力んだ。
突然、タモツが左右のパンティの端をつかむと、グイッと引き絞るように持ち上げた。
「いやぁ」
沙希子はスカートを離し、慌ててしゃがみこもうとした。しかしタモツが強烈な力で持ち上げたので、逆に沙希子はパンティに吊り下げられるようにつま先だってしまった。強く引き上げられたパンティがありえないほどの鋭角で股間に食い込んで、その両脇から恥毛に彩られた膨らみの肉がはみ出てしまった。沙希子にとってこれほど恥ずかしい格好はなかった。
「ほらパンツの脇から、オマンジュウの恥ずかしいお肉がはみだしているぞ」
そう言うと、タモツははみ出した肉を、右、左と代わる代わる舐め始めた。
「だめ、やめて」
大声で叫びながら暴れようとしたが、暴れるとパンティがますます深く食い込んでくる。とうとう動けなくなった沙希子は異様な場所を舐められる感覚の中で、諦めて目をきつく閉じた。パンティがきつく食い込んでいる奥で、女の唇が充血してじんじんと腫れてくるのが分かった。
「お願い。大人しく言うことをききますから、もういじめないで」
大粒の涙をとめどなく流しながら、沙希子はタモツに許しを乞うのだった。

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